2006年から東証1部に上場していた日本のアコーディア・ゴルフは、2017年3月に独立系プライベート・エクイティ・ファンドであるMBKパートナーズによって株式公開買い付け(TOB)により買収され、上場廃止となっています。

このため、それまでアコーディア・ゴルフが四半期決算ごとに開示していた経営情報を現在は得ることはできません。ただし、AGTは上場企業として決算を開示していますので、アコーディア・ゴルフ全体の7割弱の状況を、そこから垣間見ることができます。

増収増益だったAGTの第1四半期決算

では、2017年8月14日に開示されたAGTの第1四半期(4-6月期)決算の内容を、同社のプレゼン資料から見てみましょう。

実績は営業収益が146億円(前年同期比+1%増)、営業利益は32億円(同+8%増)、税引き後利益は25億円(+10%増)と、増収増益を確保していました。

営業収益の内訳については、ゴルフ場収入が同+2.1%増、レストラン部門収入が+1.5%増であったのに対し、会員権収入は同▲5.9%減となっています。

また、第1四半期の入場者数については162万人と、前年同期比で+4%増、過去3年平均との比較では+3%増と堅調でした。

ゴルフ場の経営に関しては、若者のゴルフ離れ、プレーヤーの高齢化など、あまり明るい話題は聞かれません。しかし、こうして見ると、新たな会員権販売は不振ではあるものの、フローで見る限り足元の状況は堅調に推移していたことがうかがえます。

今後の見通し

AGTでは、今後の見通しについて以下のようなコメントを行っています。

引き続き見込まれる日本の堅調なゴルフプレー数

• シニアプレーヤーからの確かな需要による下支え
• 全体的な人口減少傾向にもかかわらず、1ゴルファー当りのプレー回数は増加

人気のレジャー・スポーツとしてあり続けるゴルフ

• 健康意識のより高いシニアにとって、ゴルフは健康的なレジャーであり続けている
• オリンピック競技としてゴルフが採用されたことで、若者層を含め日本でのゴルフ人気が増大すると期待される
• 訪日観光客の活況は、中長期的にゴルフ需要にプラスの影響を与えるものと見込まれる

このように、同社は比較的今後の見通しについて楽観的に捉えています。また、今後の堅調な成長を支えるために、最新GPSナビゲーションシステムをゴルフカートに導入することや、ポイントプログラムの拡充、女性向けのゴルフ情報配信の強化などに取り組むとしています。

まとめ

上場廃止以降、アコーディア・ゴルフに関する経営情報に触れる機会は少なくなってしまいましたが、AGTの決算を通して、堅実に推移していることがご理解いただけたのではないでしょうか。

とはいえ、日本のゴルフ業界全体では、団塊の世代に先立つ1945年(昭和20年)生まれの人たちが2020年に75歳(後期高齢者)となることでゴルフ離れが加速する「2020年問題」に直面しています。

このため、今後、同社がこうした課題に対して新たな取り組みをさらに加速させていくかについても注視していきたいと思います。

和泉 美治