過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2020年5月21日) |
信用金庫は地方銀行や都市銀行よりも事業規模の小さな法人を対象にしています。私は地方の信用金庫に勤務しており、当時私が担当したのは年商1億円未満、従業員は10人未満という中小企業者が主な取引先でした。
地方の企業動向はなかなか全国紙で取り上げられることは少ないように思います。そこで、今回は過去に出会った中小企業者の中で「うまくいっている経営者の特徴」について見ていきたいと思います。
【関連記事】つみたてNISA「月3万円を年率3%」で20年間運用できた場合をシミュレーション
1. 不景気のときこそ「人財」を掴んだ経営者
まずは私が一番感銘を受けた中小企業経営者を紹介します。
父親が創業した金属加工業を営む小さな町工場。そこを現在の経営者が継承したのですが、5人いた従業員も高齢化が進み、事業を継続することが難しくなっていました。そんな矢先にリーマンショックが同社を襲いました。
いっそ事業を畳んでしまおうかと思っていた時に、テレビで「非自発的な失業者」、つまり本人に働く意思があるのに会社をやめざるをえなかった人が増えているというニュースを見ました。
そこでこの経営者が取った行動は、なんとこのタイミングで技術職の正社員採用の募集をかけたのです。
すると、リーマンショック前はいくらハローワークに募集をかけても誰も来てくれなかった小さな町工場に、次々と高い技術力を持った若い人材が応募してきました。
リーマンショックが落ち着いた後は、若い技術者たちは、国内だけでなく、海外からも受注が入る町工場の主戦力として会社の成長に寄与しています。
「人材はね、人財なんだよね。特に技術力でしか勝負できない小さな製造業はね。だから、リーマンショックの時は、今が買いだって思ったんだよね。給料を出すのが本当にしんどかったけど。」そう話してくれた嬉しそうな顔を今でもよく覚えています。
「ピンチをチャンスに」というキーワードは、経営の場面でよく聞かれる言葉ですが、実行するのはなかなか難しいと思います。しかし、この経営者は「100年一度の経済危機」ともいわれるタイミングで見事に事業を立て直しました。
最近もコロナの影響でリーマンショックを超える経済危機になるかもしれないと言われていますが、このような時こそチャンスに変えられないかと、事業内容を見直してみてはいかがでしょうか。
2. お金にまつわる情報に貪欲な経営者
続いて紹介したいのが、「だからこの人はお金が貯まるのだな」と納得した経営者です。
その経営者は創業者として運送業を開業しました。開業後メキメキと業績を伸ばしていたため、得意先係がこの会社の決算書を持ち帰る度に融資係でうっとりしながら決算書を眺めていたのを覚えています。
どこにでもある小規模の運送業者なのですが、そこは、小規模企業だからできる、大手がやりたがらない市場で「戦わずに勝つ」というマーケティングの教科書のようなやり方で急成長した企業です。
ここの経営者は、とにかく貪欲。何に貪欲かと言うと、「情報」に貪欲なのです。お金にまつわる情報は、自分から集めないと、向こうからはやってきません。その代表的なものに「事業者向けの補助金や助成金、融資の利子補給制度」があります。
実は私は市役所での勤務経験もあり、補助金や利子補給の制度を新しく組んだり、交付していた経験もあるのですが、事業者の人に「こんな制度あるなんて知らなかったよ」と言われることのなんと多いことか!
予算の関係で、せいぜいホームページに(しかも分かりづらいところに!)掲載したり、役所のコピー機で印刷した白黒のチラシを役所のロビーに設置する程度でしか周知できません。にもかかわらず、予算額が決まっているのですぐに募集終了となることが少なくありません。
だからこそ、様々な角度から「情報」を集めることが重要になってきます。銀行や信用金庫の担当者、商工会議所の職員や市役所の職員、税理士の先生、あらゆる人と交流し、情報を貪欲に欲しがる必要があります。
この経営者は、特に補助金制度や商談会、資産運用に関する情報を届けると、それは喜んでくれました。これは、金融機関の担当者にとって「もっと喜ばせてあげたい」というモチベーションに繋がります。金融機関人、特に中小企業が取引先の地域密着型の信用金庫の職員は、自分が担当する企業が「うまくいっている」ことが一番のご褒美となります。
最近も新型コロナウイルスの影響で国や地方自治体から様々な助成制度が出ています。
ただ、専用のホームページを見ても、なかなか難しくて理解できない、という経営者の人も多いと思います。そのような時こそ、取引先の金融機関の担当者や商工会議所の職員から、上手に聞き取ってみてください。自分だけでは探せなかった情報も仕入れられるかもしれません。
3. おわりにかえて
今回ご紹介したのはほんの一例で、うまくいっている経営者がいる反面、事業が軌道に乗ったのにも関わらず、事業拡大してわずか数年で資金繰りがショートしてしまい、差押が入ってしまった経営者もいます。
いずれにせよ、中小企業の場合は、企業の発展衰退は、経営者次第です。信用金庫職員も、中小企業に融資する場合は、その企業の経営者に融資をするつもりで審査する部分が大きいかと思います。
今回ご紹介した2人の経営者の話が参考になればと思います。
スマホOK!無料Webセミナー「お金の増やし方」「iDeCo/NISA始め方」他【PR】
毎日開催/無料オンラインセミナー/たった30分/資産運用初心者向け/月2万円からしっかり資産作る/iDeCo・NISAどっち?/投信選び/保険見直し/スマホやPCで簡単参加/カメラoff/講師陣は大手金融機関出身者/もやもや解消&問題解決あり