2023年度の厚生年金と国民年金受給額は3年ぶりの増額となります。
4月分から増額となっていますが、実際に受給できるのは6月です。日用品や食品、電気代などの値上がりが続いている中で年金額が増額されるのは嬉しいニュースですね。
年金を受給している方には、毎年6月に年金振込通知書が送付され、翌年4月までの受給額を確認することができます。実際にいくら受給できるのか、手元に届き次第忘れずに確認しましょう。
この記事では、令和5年4月からの厚生年金と国民年金の受給額を解説するとともに、実際に受給している方の平均受給額や、それぞれの年金の計算方法なども解説していきます。
【注目記事】もうすぐ年金支給日!厚生年金と国民年金はみんないくら受給しているのか
1. 2023年度の厚生年金・国民年金は増額へ。最初の振込日は6月15日
令和5年度の厚生年金と国民年金の受給額は以下の通りです。比較のため、令和4年度の受給額も記載しております。
厚生年金はモデル夫婦(※)において月額22万4482円となり、令和4年度よりも4889円の増額です。
※モデル夫婦:平均的な収入(平均標準報酬 43万9000円)で40年間勤務した場合に受給できる年金額で、厚生年金と2人分の国民年金(満額)で試算
一方、国民年金は年齢によって引き上げ率が異なり、67歳以下の方は満額で月額6万6250円の受給で、令和4年度よりも1434円の増額に。
68歳以上の方は月額6万6050円の受給で、1234円の増額となっています。
2. 6月送付の「年金振込通知書」の確認を
なお、年金額が増額になるのは令和5年4月分からで、実際の振込は2023年6月15日(木)です。
それ以降は偶数月の15日に振込予定です(15日が金融機関の休業日に当たる場合は翌営業日)。
毎年6月に送付される「年金振込通知書 」に、6月から翌年4月までの期間に振り込まれる年金額が記載されていますので、手元に届いた際は早めに確認しましょう。
3. 厚生年金・国民年金のリアルな受給額は?
前章で解説した厚生年金の受給額はモデルケースの場合で、国民年金の受給額は保険料を完納し満額受給できる場合の受給額です。
しかし、実際にはモデルケース以外の家庭も多く、国民年金保険料も満額納めた方ばかりとは限りません。そのため、実際にはいくら受給しているのか平均受給額も知りたいところです。
3.1 厚生年金は平均で14万円台
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額14万5665円です。平成29年からの過去5年間の受給額もだいたい14万6000円〜14万7000円の間で推移しています。
3.2 国民年金は平均で5万円台
一方、国民年金の平均受給額は月額5万6479円で過去5年間の受給額もおよそ5万5000円〜5万6000円の間で推移しています。しかし、令和3年度の国民年金は満額で6万5075円だったので、8500円程少ない金額になっています。
なお、厚生労働省の同調査によると、令和3年度の厚生年金のモデル夫婦の年金受給額は約22万500円でした。しかし、実際の受給額は平均約20万2000円だったので、約1万9000円少ない計算になります。
4. 厚生年金・国民年金受給額の計算方法
まだ年金を受給していない方の中には、将来自分がいくら年金を受給できるのか気になる方もいるでしょう。
実際に年金を受給するようになると、「年金振込通知書」が送付されるので金額を確認できますが、老後資金の準備をするためには前もって受給額の目安を把握しておくことが大切です。
そこで、厚生年金と国民年金の受給額の計算方法を解説しますので、ご自身の年金受給額の目安を知る際の参考にしてください。
4.1 厚生年金の受給額の計算方法
厚生年金の受給額は、以下の計算式で求めます。
厚生年金受給額=報酬比例部分(①)+経過的加算(②)+加給年金(③)
報酬比例部分(①)は、厚生年金保険への加入期間や報酬などによって決まるもので、厚生年金の計算の基礎となる部分です。平成15年3月以前の加入期間と平成15年4月以降の加入期間に分けて計算します。
経過的加算(②)は、「特別支給の老齢厚生年金の定額部分」と「老齢基礎年金」の間で生じた差額を埋めるものです。
加給年金(③)は、厚生年金への加入期間が20年以上ある方が65歳到達時に一定の条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に加算されるものです。
厚生年金の受給額の計算は複雑なため、ご自身で計算するのは難しいことが多いです。厚生労働省の「公的年金シミュレーター」 や日本年金機構の「ねんきんネット」の年金見込額試算などを利用すると、必要事項を入力するだけで受給額の目安がわかるので便利です。
4.2 国民年金の受給額の計算方法。未納がある場合は?
国民年金の受給額は以下の計算式で求めます。なお、67歳以下と68歳以上とでは満額の金額が異なるため注意しましょう。
【67歳以下の方】
国民年金受給額=79万5000円×(保険料納入月数÷480月)
【68歳以上の方】
国民年金受給額=79万2600円×(保険料納入月数÷480月)
67歳以下の方で保険料を480月(40年間)完納した場合は、満額の79万5000円が受給でき、68歳以上の方で480月完納した場合は、満額の79万2600円を受給できます。
参考までに、未納月があるケースの計算例も紹介します。
たとえば、67歳以下の方で未納分が80月あり、納付済月数が400月だった場合は、79万5000円×(400月÷480月)=66万2500円が受給額となります。
5. ねんきんネットなどを利用して年金見込額の試算を
令和5年度の厚生年金と国民年金は3年ぶりの増額となり、厚生年金がモデル夫婦において22万4482円、国民年金が6万6250円(68歳以上は6万6050円)です。令和5年4月分から増額になりますが、実際に振り込まれるのは6月15日です。
また、6月には年金振込通知書も送付されますので、翌年4月までに受給できる金額を忘れずに確認しましょう。
これから年金を受給する方で年金受給額の目安を知りたい場合は、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」や日本年金機構の「ねんきんネット」の年金見込額試算などを利用すると、受給額の目安がわかります。
老後資金をいくら準備すれば良いのか考えるためにも、一度試してみてはいかがでしょうか。
参考資料
木内 菜穂子