株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。
配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。
株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。
今回は日本郵船(9101)に視点をあて、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン※」を確認します。
なお、日本郵船は2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っているため、今回は株式分割後で試算を行います。
※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
【注目記事】オリエンタルランド(4661)の株「1年前に買った人」トータル・リターンはいくらか【株主優待・配当金・株価】(2023年5月第1週)
1. 日本郵船(9101)の配当金のリターンはいくらか
日本郵船の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と、2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年5月19日
- 株式の取得価格:3210円(取得日の終値)
- 2023年3月期・中間配当:350円※
- 2023年3月期・期末配当(会社予想):170円
- 100株ベースの配当金のリターン:5万2000円
※日本郵船は2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っているため、今回は株式分割後で調整
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. 日本郵船(9101)の株主優待のリターンはいくらか
日本郵船は決算期(3月31日)現在、100株以上保有する方に向けて、飛鳥クルーズの優待割引券を提供しています。
株数に応じて、「決算期後の7月1日より翌年9月30日までのクルーズ」で「優待割引券1枚につき1クルーズ1名様10%の割引」が利用できます。
- 100株以上 1500株未満:3枚
- 1500株以上 3000株未満:6枚
- 3000株以上:10枚
今回は試算のために2023年5月24日出港の「博多発 初夏の博多・神戸クルーズ」で客室タイプ「K:ステート」を利用していた場合を考えると12万2500円となり、概算で1枚1万2250円の経済価値と想定します。
そのため、優待のリターンは3万6750円です。
3. 日本郵船(9101)の株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年5月19日
- 株式の取得価格:3210円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年5月19日
- 1年後の株価の終値:3030円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲1万8000円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:5万2000円
- 株主優待のリターン:3万6750円
- 株価変動によるリターン:▲1万8000円
- トータル・リターン(金額ベース):+7万750円
- トータル・リターン(%ベース):+22.0%
トータル・リターンは金額ベースで:+7万750円でした。
4. 日本郵船の過去の配当推移を確認
日本郵船の株式の年間リターンは+22.0%でした。
一方で、日本郵船は2024年3月期の配当金予想を中間で60円、期末で60円、年間で120円としています。
これまでの日本郵船の配当金推移は以下の通りとなっています。
株価や株主優待、配当金、また業績もあわせて見て投資を考えることが大切でしょう。
参考資料
宮野 茉莉子