株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。
配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。
株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。
今回はJT(2914)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
【関連記事】商船三井の株「1年前に買った人」トータル・リターンはいくら?【株主優待・配当金・株価】(2023年3月第2週)
1. JT(2914)の配当金のリターンはいくらか
JTの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2022年12月期の中間配当と期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年5月19日
- 株式の取得価格:2300円(取得日の終値)
- 2022年12月期・期末配当:75.00円
- 2022年12月期・中間配当:113.00円
- 100株ベースの配当金のリターン:1万8800円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. JTの株主優待のリターンはいくらか
JTは「12月31日基準日」の株主の中から、株式100株(1単元)以上を1年以上継続保有している株主に対し、優待を提供しています。
株数ごとに以下のように相当額のグループ会社などの商品を提供しています。
- 100株以上200株未満保有:2500円相当
- 200株以上1000株未満保有:4500円相当
- 1000株以上2000株未満保有:7000円相当
- 2000株以上保有:1万3500円相当
注意したいのが、「株式100株以上を1年以上継続保有」という点です。
JTの場合、2023年度(2022年12月31日基準日)を例とした場合、「2021年12月31日、2022年3月31日、6月30日、9月30日、12月31日現在」の株主名簿に記録されていることと、すべての時点で保有株式数が100株以上であることが条件となります。
なお、JTは2022年12月31日現在の株主名簿に記載または記録された100株(1単元)以上を1 年以上継続保有する株主を対象に2023年の株主優待商品の発送をもって、株主優待制度を廃止します。
今回の検証では、上記条件を満たさずに優待は受け取れないため、優待のリターンは0円です。
3. JTの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年5月19日
- 株式の取得価格:2300円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年5月19日
- 1年後の株価の終値:3046円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:+7万4600円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:1万8800円
- 株主優待のリターン:0円
- 株価変動によるリターン:+7万4600円
- トータル・リターン(金額ベース):+9万3400円
- トータル・リターン(%ベース):+40.6%
トータル・リターンは金額ベースで+9万3400円でした。
4. JTの配当金推移を確認
JTの株式の年間リターンは+40.6%でした。
最後にJTの配当金推移を確認します。
配当金・優待・株価とそれぞれの要素を確認すると、どのような影響が株式投資のリターンにあらわれているかわかりやすいでしょう。
今回確認した通り、株式投資の際は配当や優待だけでなく、株価水準についてもきちんと確認してみてください。
また、今期の業績だけでなく、リスクなどもあわせて総合的に考えましょう。
参考資料
宮野 茉莉子