配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。

株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。

よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。

今回は任天堂(7974)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン※」を確認します。

なお、任天堂は2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株を10株に分割したため、今回は分割後として試算いたします。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

【注目記事】「商船三井・日本郵船・川崎汽船」が2024年3月期の配当金予想を公表。これまでの配当金と株価推移や株主優待、リスクとは?

1. 任天堂の配当金のリターンはいくらか

任天堂の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と、2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。

出所:任天堂株式会社「2023年3月期 決算短信[日本基準](連結)」

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年5月18日 
  • 株式の取得価格:5927円(取得日の終値)
  • 2023年3月期・中間配当:63円※ 
  • 2023年3月期・期末配当:123円
  • 100株ベースの配当金のリターン:1万8600円

※任天堂は2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株を10株に分割したため、分割後で調整。

なお、任天堂には株主優待制度は設けられていません。

そのため、優待のリターンは0円です。

2. 任天堂の株式投資のトータル・リターンはいくらか

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年5月18日
  • 株式の取得価格:5927円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年5月18日
  • 1年後の株価の終値:6043円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:+1万1600円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン:1万8600円
  • 株主優待のリターン:0円
  • 株価変動によるリターン:+1万1600円
  • トータル・リターン(金額ベース):+3万200円
  • トータル・リターン(%ベース):+5.1%

トータル・リターンは金額ベースで+3万200円でした。

4. 任天堂の2024年3月期の配当金予想は

任天堂株式の年間リターンは+5.1%でした。

なお、任天堂の2024年3月期の配当金予想は年間合計で147円となっています。

配当金・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。

配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。

参考資料

石井 僚一