投資信託や株で資産運用をする場合、利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISA制度を活用すれば、一定の条件のもと、利益にかかる税金は非課税になります。
2024年から、この新NISA制度が大きく変更となる予定です。
今回は、新NISA制度はどのようなポイントが変更になるのか、また注意点は何かを確認していきましょう。
新NISAのポイント8つ
まずは、新NISA制度の概要をチェックしていきましょう。金融庁のホームページに掲載されている新NISAの概要をみながら、大きな変更点を8つご紹介します。
新NISAポイント1.つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる
現行のNISA制度では、年間40万円まで20年間非課税で投資ができる「つみたてNISA」か、年間120万円まで5年間非課税で投資ができる「一般NISA」のどちらかを選択しなければいけませんでした。
新NISAでは、現行のつみたてNISAにあたる「つみたて投資枠」と、現行の一般NISAにあたる「成長投資枠」を両方活用して投資をすることが可能です。
新NISAポイント2.非課税保有期間が無期限になる
現行のNISA制度では、非課税となる期間が決められていました。
しかし、新NISAでは非課税で運用できる期間が無期限となります。たとえば18歳以上の人が始めて、70歳代、80歳代になってもNISAで運用を続けることも可能です。
新NISAポイント3.年間投資上限額が大幅に増える
新NISAでは、投資ができる年間投資上限額が大幅にアップします。現行では、「つみたてNISAは」年間40万円まで、「一般NISA」は年間120万円まででした。
新NISAは、「つみたて投資枠」が年間120万円まで、「成長投資枠」が年間240万円まで投資が可能です。
新NISAポイント4.生涯投資上限額が設定される
新NISAでは非課税保有限度額が新設されます。これは、NISA制度全体で投資ができる総枠が決まっているというもので、限度額は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)となっています。
新NISAポイント5.つみたて投資枠と成長投資枠、どちらかだけでも運用可能
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つが併用可能ですが、どちらか一方だけを選んで投資をすることもできます。
たとえば、コツコツとつみたて投資だけをしたい場合は、成長投資枠を使う必要はありません。また、株式などのハイリスクハイリターンな商品に絞って運用をしたい場合は、成長投資枠のみを利用することもできます。
なお、どちらか一方を使用する場合の上限額は、つみたて投資枠だけの場合1800万円まで、成長投資枠だけの場合は1200万円までとなっています。
新NISAポイント6.預かりを売却すれば非課税枠が復活する
現行のNISA制度の場合、NISAの預かりを売却したとしても、その分非課税枠が増えるわけではありません。しかし、新NISAでは、NISAの預かりを売却した場合、生涯投資上限額内で、非課税枠が復活します。
たとえば、つみたて投資枠で投資をしている人が1800万円まで投資枠を使ってしまっていても、預かりを100万円売却すれば、再び100万円分の投資が可能となります。
新NISAポイント7.口座開設可能期間は無期限
新NISAは、現在のところ恒久化される予定です。そのため、今後いつでも口座開設をすることができ、期限はありません。
新NISAポイント8.現行NISAもそのまま運用可能
すでに現行のNISA制度を活用して投資を行っている人もいるでしょう。新NISAは、現行NISAとは切り分けて制度がスタートします。
現行NISAは2023年までですが、預かりはそのままで、新NISAの外枠で非課税期間が終了するまで運用を続けることが可能です。現行NISAの預かりは、新NISAの非課税保有限度額には含まれません。
新NISAの注意点
新NISA制度は、現行のNISAに比べて使い勝手がよく、より大きなお金を非課税で投資ができるようになります。自分たちの老後資金など、貯蓄を準備する上で大変有効な手段となるでしょう。
一方で、注意点として「自分に合った投資を行う」というポイントを覚えておきましょう。
新NISAでは、つみたて投資枠や成長投資枠の投資上限額が大幅に増えますが、あくまで自分の身の丈にあった投資額を決めることが大切です。
まずは、毎月の収入内で日々の生活が苦しくないように投資をするのがおすすめです。毎月の家計を無理なく回すことができる範囲で、投資を始めてみましょう。
まとめにかえて
新NISA制度は今後私たちの老後資金を貯めるにあたり、重要な制度となる可能性があります。
金融庁によれば、つみたてNISAの商品数は227本となっています(2023年4月27日公表)。新NISAで運用をはじめるにはNISA制度を理解するとともに、リスクや投資対象を学ぶなどの必要があります。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、今から新しい制度の概要をしっかりと理解した上で、資産運用を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
下中英恵FP事務所 下中 英恵