確定拠出年金には、勤務先の会社が掛け金を拠出する企業型(企業型DC)と、個人が拠出する個人型(iDeCo)があります。
もし、転職などによって60歳より前に企業型DCのある会社を退職した場合、企業型DCの年金資産はどうなるのでしょうか。
転職・退職で企業型DCの加入者資格を喪失したら6カ月以内に移換手続きを
転職などの理由で企業型DCのある会社を退職すると、その会社の企業型DCの加入資格を失うため、これまで企業型DCに積み立てた年金資産を移動させなければなりません。この年金資産を移動させる手続きを「移換」といいます。加入者資格の喪失手続きは退職時に会社がしてくれますが、移換の手続きは、企業型DCの加入者資格喪失日の翌月から6カ月以内に自分自身で行う必要があります(※)。
「6カ月ある」というと比較的猶予があるように感じられますが、転職・退職後のドタバタでついつい後回しになって、忘れてしまうということもあります。手続き完了までには1~2カ月程度かかるので、資格喪失の通知を受け取ったら速やかに手続きをしましょう。
※転職先に企業型DCがありこちらに加入する場合は、転職先の会社で移換の手続きをすることになりますので確認してください(併用が認められている場合はiDeCoにも加入可能)。
iDeCoに移換しなければならないのはどんな人?
企業型DCに加入していた人が退職によってその加入資格を喪失した場合、転職先に企業型DCがあればこちらに資産を移換することになりますが、それ以外のときには年金資産をiDeCoに移換する手続きが必要になります。具体的には次のようなケースです。
- 企業型DCのない会社に転職したとき
- 公務員になったとき
- 起業などによって第1号被保険者になったとき
- 結婚などで専業主婦(夫)になり、第3号被保険者になったとき
これらの人は、前職の企業型DCの年金資産をiDeCoへ移換するとともに、新たに掛け金を拠出していく「加入者」もしくは掛け金を拠出せず運用のみを行う「運用指図者」のどちらになるのかを選びます。
ただし運用指図者を選んだ場合、iDeCo口座の手数料は必要ですが、掛け金を拠出をしないので、掛け金が全額所得控除になるという節税効果を得ることができません。
ちなみに一定の要件を満たしていれば、例外的に資産の現金による引き出しも認められています。これを「脱退一時金」といいます。