コマツ(6301)は2022年から堅調な業績であり、2023年年初は株価は上昇傾向でした。

海外のビジネス比率が高いコマツにとっては重要な為替が1ドル=130円付近から円高に大きく進行しなかったのも安心材料になったと考えられます。

コマツの2022年末以降の株価の推移(終値ベース:円)2022年12月30日~2023年4月28日

出所:各種資料をもとに筆者作成

一方で3月には米地方銀行のシリコンバレーバンクの破綻などによるグローバルな株安が波及し、下落したと考えられます。年初来での上昇率はプラスであることも踏まえると、大幅な下落とはなりませんでしたが、3月以降は横ばい傾向が続いています。

今回はコマツの株価についてみていきましょう。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

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1. コマツは2022年度第3四半期決算が堅調な業績に

コマツは2022年の秋口に発表された第2四半期の決算に続き、1月31日に発表された第3四半期も堅調な内容となりました。

4-12月の9ヵ月間の業績で、売上高が前年同期比+26.0%、営業利益が+54.9%と増収増益となっています。

セグメント別でみると、主力ビジネスである建設機械・車両が販売価格の改善により、増収増益となっているほか、リテール向けに取り扱っているリースビジネスも、規模は小さいながらも堅調に推移しました。

業績見通しについては大きな変更はありませんでしたが、そもそも10月に発表したときに業績見通しの上方修正と増配方針を示しているので、当時の見通しを維持したことは、投資家にとって安心材料になったと思われます。

2. 円高の歯止めもコマツにとっては追い風材料か

コマツは海外売上が2019年度時点で86%に上るなど、海外売上比率の高い企業です。それに比しては2022年秋口の円高局面でも堅調な業績を維持したことは、投資家にとって安心材料になったと考えられます。

ドル円為替相場の推移:2022年6月30日~2023年4月28日

出所:各種資料をもとに筆者作成

2023年に入ると、1月こそゆるやかな円高局面となりましたが、1月末に1ドル=130円を割れたところで円高が止まり、それ以降は130円台のレンジ内推移となっています。

為替相場が落ち着いたことは、コマツの業績にとって追い風となるため、株価にとっても下支え要因として機能したと思われます。

3. 3月の金融セクター不安が波及か

2023年3月に発生した米シリコンバレーバンクの破綻やクレディ・スイスの買収にともなう影響は金融セクターだけの株安にとどまらず、幅広いセクターの株価を下落させることとなりました。

クレディ・スイスは世界的な大手金融グループであったため、同行が危機的な状況に陥ったという報道は、さらなる経済危機に発展するのでは、という懸念を高めることに。3月の上旬以降は世界中の多くの株式市場が下落し、日経平均も下落傾向となりました。

コマツと日経平均の株価推移:2023年2月15日~2023年4月3日

出所:各種資料をもとに筆者作成

コマツは金融セクターではありませんが、コマツを含む建機セクターは景気拡大時には開発需要や企業の設備投資増加に伴い業績が特に拡大しやすいため、景気敏感株としての側面を持っています。

そのため、経済危機への懸念の高まりを背景とした株式市場の下落が波及し、コマツ株も下落することになったと考えられます。

ただし、本業の業績悪化懸念などが高まったわけではなかったことから、影響は一時的なものにとどまり、3月末ごろには再び株価はゆるやかに上向きはじめていると思われます。

4. コマツの株の配当金と株主優待は?

コマツの2022年度(2023年3月期)の配当予想は第2四半期時点で1株あたり年間128円となっていました。ただ4月28日に公表された「2023年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)」によれば2023年3月期は年間139円でした。

出所:株式会社小松製作所「2023年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)」

2020年~2022年にかけて2年連続の増配で、2020年と比べると配当額は倍以上となっています。

一方で配当性向は40%程度となっているため、堅調な業績を土台に無理なく配当金を出せている状況が伺えます。

コマツの年間配当金推移

出所:株式会社小松製作所「配当金について」をもとに筆者作成

2024年3月期の配当金予想は中間で69円、期末で70円、合計で139円となっています。

また、コマツの株主優待は特徴的で、感謝品としてコマツが製造する建機のオリジナルミニチュアがもらえます。

毎年3月31日に300株以上を保有していると、この優待を受け取る権利が発生します。

なお、2022年度はオリジナルミニチュア [WX22H] ハイブリッドLHD(ロードホールダンプ)となっていて、毎年ミニチュアの題材となる建機は異なります。

参考資料 

宮野 茉莉子