年金の用語に触れるたび、「これはどういう意味だろう」と思うことはありませんか。

年金制度は複雑で、かつ聞き慣れない言葉も多いため、どうしても敬遠してしまう方も多いようです。

しかし物価高で少子化が進む今、老後を考える上で知っておくほうがいい制度はたくさんあります。

今回は加給年金について学んでいきましょう。

【注目記事】【2023年度】加給年金の金額が決定!年の差夫婦は年金をいくら受け取れるか

1. 「加給年金」とは何か

加給年金とは、厚生年金の被保険者のうち、その方に生計を維持されている下記の配偶者または子がいるときに加算されるものです。

 

出所:日本年金機構「か行 加給年金額」

ただし、配偶者や子どもがいれば誰でも支給されるわけではありません。

2. 加給年金の支給要件

支給要件について、厚生年金の被保険者本人とその家族にわけて見ていきましょう。

2.1 【本人の要件】

  • 厚生年金保険の被保険者期間が20年(※1)以上ある

(※1)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

2.2 【配偶者の要件】

  • 65歳未満で生計を維持されている
  • 厚生年金や共済年金の加入期間が20年未満である

2.3 【子どもの要件】

  • 18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

3. 加給年金の金額

要件を満たす方には、下記の金額が支給されます。

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

配偶者の場合、2023年度は22万8700円が通常の年金に加えて支給されます。

ただし、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、3万3800円から16万8800円が特別加算されます。

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

障害年金を受ける場合など、対象外となるケースもあるので、詳しくはお近くの年金事務所等にご相談ください。

4. 加給年金を受給する手続き

加給年金は勝手に支給されるものではないため、申請をする必要があります。

下記の添付書類とともに、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出しましょう。

出所:日本年機構「加給年金額を受けられるようになったとき」

添付書類は原本で、かつ提出日の6ヶ月以内のものと決められています。

5. まとめにかえて

年金の用語は複雑に思えますが、将来の生活を支える要となるものです。

少しでも不明点がある場合は、ぜひ年金事務所等に相談し、解消しておきましょう。

老後資金の対策を始めるには、十分に公的制度を理解する必要があります。その上で、足りない資金の準備方法について考えていきましょう。

参考資料

太田 彩子