自己負担割合の引き上げは「非感染症」を中心に

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もっとも、感染症に関しては、自己負担割合を引き上げない方が良いかもしれません。感染症の自己負担割合を引き上げると、感染症に罹患しても治療を受けず、他人を感染させてしまう可能性が高まるからです。

患者が受診するか否かを判断する際には、自分が支払うコストと自分が受けるメリットを比較するわけで、他人を感染させてしまった場合に他人が被る被害は考慮されません。その結果、国民経済的には受診すべき事例であっても受診されない、ということが起こりかねないからです。

健康保険組合にとっても、感染症の治療は受けてもらった方が良いかも知れません。感染症の治療を我慢した人が10人を感染させ、その半分である5人が治療を受けるとすれば、健康保険組合の負担はむしろ増えてしまうからです。

したがって、たとえば感染症に関しては自己負担割合を据え置いて、非感染症についてのみ自己負担割合を引き上げる、という選択肢を検討すべきでしょう。そうなれば、感染症の患者は食事より治療を選び、それ以外の患者は治療よりも食事を選ぶことになるはずです。

ちなみに、感染症に関しては、治療のみならず、予防や検査等も安価で受けられるようにすべきですね。予防や検査によって感染症の拡大が防げれば、国民経済的にも健康保険組合的にもメリットが大きいからです。