現役世代の感染症診療費は、むしろ負担軽減すべきかも
後期高齢者の負担を増やして現役世代の負担を軽減しよう、という目的は是とされますが、現役世代の負担軽減に関しては、感染症の治療に際しての自己負担割合を引き下げるという選択肢も要検討かも知れません。
上記を読む限り、「現役世代の自己負担割合を引き下げると受診者が増えて健康保険組合の負担が急増しかねない」と懸念する向きもあるでしょう。
しかし現役世代は活動が活発ですから、感染症を他人にうつしてしまう可能性が高くなります。よって、積極的に治療を受けてもらった方が全体の感染者数を抑制でき、結果として健康保険組合の負担が減るという可能性もあるはずです。
加えて、現役世代には病に伏せていないで大いに働いてもらいたい、ということもあります。少子高齢化で労働力不足の時代を迎えるわけですから、現役世代に頑張ってもらうことが国民経済的にも望ましい、というわけです。
おわりに
本稿の結論としては、後期高齢者の非感染症の治療を減らし、現役世代の感染症の治療を増やすために、前者の自己負担割合を引き上げて、後者の自己負担割合引き下げが望ましい、ということになりそうです。
高齢者は重症化しやすいのだから、高齢者の治療を優先すべきだ、という考え方もあるでしょう。
しかし重症化する可能性のある疾病であれば、自己負担割合が引き上げられたとしても高齢者が自発的に診療を選択するでしょうから、懸念は不要でしょう。
「食事」を選択した結果として疾病が重症化する高齢者もいるでしょうが、それは自己責任というものです。
余談ですが、「高齢者の負担を増やして現役世代の負担を減らせ」といったことを書くのは勇気が必要です。これまで筆者はそうした主張をする際には慎重に執筆していましたが、最近筆者も晴れて高齢者になり、後期高齢者入りが視野に入ってきたので、本稿は遠慮なく思うところを書くことができた、というわけです(笑)。
本稿は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先しているので、細部は必ずしも厳密ではありません。
塚崎 公義