2. 年金額に男女差が生じている簡単な理由

本来、国民年金から支給される「老齢基礎年金」と厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」は、いずれも年金額を計算する仕組み上、男女による性別の違いは生じません。

しかし、先の統計結果では、平均年金月額の男女差が約6万円ありました。

なぜ、このような男女差が生じているのか、ここでは考えられる簡単な理由を流れに沿って紹介していきます。

2.1 1つ目のポイントは世帯の働き方が大きく変化したこと

内閣府男女共同参画局が2022年6月に公表した「令和4年度版男女共同参画白書」によると、いわゆる「共働き世帯」と「専業主婦世帯」の推移は、以下のように変化しています。

出所:内閣府男女共同参画局「令和4年版男女共同参画白書」

上記図より1995年(昭和60年)は、専業主婦世帯が936万世帯、共働き世帯が718万世帯となっており、専業主婦世帯の方が共働き世帯よりも多いことがわかります。

しかし、年数を経て2021年(令和3年)を確認しますと、専業主婦世帯が458万世帯、共働き世帯が1177万世帯で、共働き世帯が専業主婦世帯よりも多くなっていることが確認できます。

はたしてこの変化が、男女の受け取る年金とどのように関係しているのでしょう。

2.2 老齢厚生年金の計算方法が大きな2つ目のポイント

厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」は、厚生年金に加入している期間やこの加入期間にもらっていた報酬額に応じて年金額が計算されます。

ポイントは、その人がどのくらいの期間に渡って厚生年金に加入していたのか、どのくらいの報酬をもらっていたのかなど、男女差ではなく「個人差」が、老齢厚生年金の年金額に違いを生じさせているわけです。