40歳代以降になると、「老後を見据えてそろそろ本格的に貯蓄額を見直したい」と考えている方もいるかもしれません。

とはいえ、昨今の物価高では余裕のある貯蓄が難しいのも現状です。

帝国データバンクによると、値上げ品目数は2023年4月で約5000品目、5月以降も4000品目にのぼることがわかりました。

このような状況下においては、老後の資金がいくら必要か曖昧なまま貯蓄するのは非効率といえます。

本記事では、ひとつの目安として40歳代から50歳代「おひとりさま」の平均貯蓄額や手取りからの貯蓄割合を紹介します。

平均を参考に、老後に備えていくら貯蓄したほうがいいのかを考えていきましょう。

「おひとりさま」の増加。40〜50歳代はどのくらい貯金をしている?

総務省統計局の国勢調査によると、世帯人員が1人である「おひとりさま」が令和2年の時点で2115万1000世帯となっており、一般世帯のなかで最も多くなっています。

2000年と2020年のデータを比較するとその差は広がっており、反対に世帯人員が3人以下の世帯は減少傾向にあります。

出所:総務省統計局「令和2年国勢調査」

生活スタイルの変化から、結婚を選択しない人も増えており、今後も「おひとりさま」である単身世帯は増加傾向をたどると考えられます。

では、40〜50歳代「おひとりさま」は、どのくらい貯蓄をしているのでしょうか。

金融広報中央委員会が単身世帯を対象に調査したデータによると、40歳代の平均貯蓄額は657万円(中央値53万円)、50歳代の平均貯蓄額は1048万円(中央値53万円)となりました。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」の調査データをもとに筆者作成

平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」となっており、極端に貯蓄額が多い人がいると、平均値がその金額に寄ってしまう傾向にあります。

一方で中央値は、対象となるデータを小さいまたは大きい順に並べ、中央にある値を指しており、より実態に近いとされています。

一般的な貯蓄額の実態を知りたい方は、中央値を参考にすると良いでしょう。

中央値をみてみると、40歳代、50歳代ともに53万円となっています。

金融広報中央委員会の同調査において、二人世帯以上の40〜50歳代の貯蓄の中央値が、それぞれ「250万円」「350万円」であることから、単身世帯よりも二人世帯以上のほうが貯蓄額が高い傾向にあります。