2. 具体的にいくら年金がカットされる?支給停止になる金額の計算方法

在職老齢年金によって支給停止になる金額の計算式は以下のとおりです。

出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

支給停止額=(老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2

老齢厚生年金の月額が10万円、総報酬月額相当額が40万円の例で支給停止額を計算してみましょう。

(10万円+40万円-48万円)÷2=1万円

在職老齢年金適用後の受取金額は9万円(10万円-1万円)となります。

老齢厚生年金の月額が10万円の場合、総報酬月額相当額が38万円を超えると一部支給停止、58万円以上では全額支給停止になります。

2.1 厚生年金と国民年金の平均受給額と60歳以降の給与は?

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年3月末現在の厚生年金と国民年金の平均年金月額は以下のとおりです。

【厚生年金(基礎年金含む)】の平均年金月額

  • 男性:16万3380円
  • 女性:10万4686円

全体:14万3965円

【国民年金】の平均年金月額

  • 男性:5万9013円
  • 女性:5万4346円

全体:5万6368円

国民年金は在職老齢年金の対象外ですが、厚生年金の平均額が基礎年金を含むため、参考のために載せました。

国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」から60歳以上の平均給与額(賞与も含む年額)は以下のとおりです。

出所: 国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」をもとに筆者作成

やや古いデータではありますが、2018年度末に65歳以上で在職して年金を受給していた人のうち、20%弱が支給停止の対象となっていました。

年金や給与のデータから推測すると、同程度の割合で支給停止になるのではないかと考えられます。