4月14日は2ヶ月ぶりの年金支給日でした。
年金は2ヶ月ごとの振込となるため、年金生活になると最初は家計のやりくりに戸惑うかもしれません。
年金で戸惑うポイントとしては、「天引きされるお金があるため手取りが少ない」点もあります。
筆者も何度か相談を受けましたが、想定していた見込額よりも手取りが少なく、戸惑う方も多いようです。
そこで今回は、国民年金と厚生年金から天引きされる5つのお金をご紹介します。
老後生活の柱となる年金について、理解を深めていきましょう。
【注目記事】厚生年金の見込みが20万円だった男性。手取りの少なさに愕然としたワケ
1.「厚生年金と国民年金」あなたがもらえる年金は?
公的年金には「厚生年金と国民年金」があるため、将来どの年金がもらえるかを知っておくことが大切です。
1/4
出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)・厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成
1.1 国民年金(老齢基礎年金)
日本に住む20~60歳未満の方が加入するのが、1階部分にあたる国民年金です。
保険料は一律で、2023年度は1万6520円(月額)を毎月支払います。
ただし、公務員や会社員である第2号被保険者は、後述する厚生年金に含まれているため、国民年金の保険料を単独で支払う必要はありません。
また会社員等の扶養である配偶者(第3号被保険者)は、保険料納付の義務がありません。
1.2 厚生年金(老齢厚生年金)
公務員や会社員などの第2号被保険者は、国民年金に上乗せして2階部分の厚生年金にも加入します。
現役時代の報酬に応じた等級で厚生年金保険料が決まり、加入期間や納めた保険料によって、受け取れる年金額が変わってきます。
上乗せできる厚生年金があると、将来の年金は手厚くなると考えられます。
しかし、そんな年金からも天引きされるお金が5つあるのです。
2. 厚生年金と国民年金から天引きされる税金・保険料5つ
厚生年金や国民年金から天引きされるお金について、5つにわけて見ていきましょう。
2.1 介護保険料
40歳から64歳までは健康保険料に含めて支払う介護保険料ですが、65歳になると単独で支払うことになります。
介護保険料は、年金年額が18万円以上の方は年金から天引きされることに。
介護保険料は住所地や所得によって異なるものの、徐々に増加傾向にあります。
介護状態になれば介護保険料の支払いが終わると勘違いする方もいますが、支払いはずっと続くので注意しましょう。
2.2 国民健康保険料(税)
国民健康保険とは、協会けんぽや健康保険組合などの会社の保険に加入していない75歳未満の方が加入する、公的健康保険です。
65歳から74歳までの国民健康保険加入者の場合、原則として国民健康保険の保険料(税)も年金から天引きされます。
2.3 後期高齢者医療制度の保険料
後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上の方が加入する公的健康保険です。
会社の保険に加入していた方でも、年齢到達により必ず加入します。
後期高齢者医療制度の保険料は都道府県や所得によって変わりますが、こちらも年金からの天引きで納めます。
※国民健康保険や後期高齢者医療制度は、申請により普通徴収(納付書や口座振替)に変えられる自治体もありますが、それでも支払いの義務はあるため、実質年金天引きと負担は変わらないといえます。
※国民健康保険と後期高齢者医療制度はいずれかの加入になるため、同時に天引きされることはありません。
2.4 所得税および復興特別所得税
一定額以上の年金には所得税がかかります。公的年金は雑所得となり、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税されます。
また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。
ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
2.5 個人住民税
前年中の所得に対してかかる住民税についても、年金所得が一定になれば課税され、年金天引きで納めます。
障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
※天引きが開始される時期は、税金や保険料によって異なります。初めて支給される年金から同時に天引きが開始されるわけではありません。
3.「厚生年金」受給額は額面でいくらなのか
最後に厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、額面での年金受給額(2021年度末時点の平均)を見ていきましょう。
まずは厚生年金受給額を確認します。
※厚生年金の金額には、国民年金部分も含まれています。
3.1 厚生年金の平均受給月額
平均年金月額:14万3965円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4686円
※国民年金の金額を含む
3.2 厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数
2/4
出所:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
厚生年金は6万円ほど女性が少なくなっています。
現役時代の収入で保険料が決まるので、個人差や男女差が出やすいと考えられます。
4.「国民年金」受給額は月額いくらなのか
同じく厚生労働省年金局の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、次は国民年金の平均受給額を抽出してみます。
4.1 国民年金の平均受給月額
平均年金月額:5万6368円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4346円
4.2 国民年金月額階級別の老齢年金受給者数
3/4
出所:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 1万円未満:7万27人
- 1万円以上~2万円未満:28万4152人
- 2万円以上~3万円未満:90万3006人
- 3万円以上~4万円未満:274万9550人
- 4万円以上~5万円未満:463万6048人
- 5万円以上~6万円未満:791万730人
- 6万円以上~7万円未満:1500万3006人
- 7万円以上~:187万2466人
男女ともに、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。国民年金の平均月額には男女差はさほどないことがわかります。
厚生年金がない場合、年金だけで暮らすのは心もとないと感じるかもしれません。
5. 年金生活に向けて準備したい老後対策
厚生年金と国民年金の額面をご紹介しました。
ここからさらに天引きされるお金があると考えると、年金だけで暮らすのが難しいと感じる方もいるでしょう。
実際、多くの高齢者は100%年金だけで生活するのではなく、貯蓄を切り崩したり働いたりして補填しています。
4/4
出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」
「老後はリタイアして悠々自適に年金生活を…」とイメージする方もいるかもしれませんが、実際には年金以外の何らかの収入源や貯蓄が必要になるでしょう。
- 働き続ける
- 健康を維持する
- 老後資金の貯蓄をする
- 老後も資産運用を活用し、資産が減るスピードをゆるやかにする
- 厚生年金の加入期間を伸ばして年金額をあげる
など、それぞれに合う方法を複合的に行い、老後に向けた準備が求められます。
まずは情報収集を行い、今後のマネープランをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2022年12月)
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」
太田 彩子
