4. 【老齢年金世代の平均値】65歳以上・リタイア世帯「月の生活費」
次に、総務省「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」をもとに、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支をみていきましょう。
実収入23万6576円に対して支出合計は25万5100円となり、1万8525円が毎月不足するという結果になりました。上記に記載がある21万6519円はあくまで平均額になるため注意が必要です。
世帯収入のメインは社会保障給付、すなわち公的年金が約9割と大きな割合を占めています。つまり、冒頭でお伝えしたとおり、年金を支える世代が減ってしまい、将来的に公的年金が減少した場合は、毎月の不足分がいまよりも多くなるということです。
くわえて、物価の上昇も著しいものがあります。年齢を重ねると健康面の不安も増えるでしょう。やはり老後のために何かしらの対策を早めに始めたほうが良いことがわかります。
5. 【老齢年金の平均値】国民年金・厚生年金「みんなの年金月額」
では、老後収入の柱となる公的年金の受給額事情を確認していきましょう。
5.1 国民年金「みんなの年金月額」
男女全体平均月額:5万6368円
- 男性平均月額:5万9013円
- 女性平均月額:5万4346円
5.2 厚生年金「みんなの年金月額」
男女全体平均月額:14万3965円
- 男性平均月額:16万3380円
- 女性平均月額:10万4686円
自営業やフリーランス、専業主婦(主夫)などが受け取る国民年金の平均月額は男女ともに5万円台と、ほとんど差はありません。
しかし、会社員などが受け取る厚生年金の平均月額は男性16万円台、女性10万円台と約6万円の男女差があります。
厚生年金の場合は現役時代の収入や加入期間が受給額を左右します。女性の場合、結婚や育児、介護などを機に専業主婦やパートになるなどの要因が、男女差に反映されてしまうのでしょう。
いまのうちから「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で自分はどのくらいもらえそうかチェックをしておくと良いですね。
6. お金に働いてもらう工夫を
今回は、65歳以上のリタイア世帯のお金事情を見てきました。
老後に受け取る年金額やひと月に必要となる生活費などは人によって異なります。とはいえ、公的年金だけで暮らしていける世帯は決して多くはないでしょう。
「人生100年時代」と言われるいま、公的年金以外の安心できる収入源を確保することが必要ですね。
投資初心者でもはじめやすいと言われている「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」など、税制優遇制度の活用を検討するのも一案です。
ゆとりある老後に向けて、早めの対策を行っていきましょう。
参考資料
- 総務省「人口推計(2023年3月報)」
- 総務省「我が国の人口について」
- 総務省「統計トピックス No.129 統計からみた我が国の高齢者 」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
田中 友梨