4. 老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算方法

最後に厚生年金保険の計算方法を見ていきましょう。

4.1 厚生年金の計算方法

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和5年度版」

A:2003年3月以前の被保険者期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの被保険者期間の月数

B:2003年4月以降の被保険者期間
平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の被保険者期間の月数

A+Bが老齢厚生年金の報酬比例部分となります(従前額保障や物価スライド等は考慮しません)。

今の年金世代では、女性が結婚や出産を機に退職することが一般的でした。そのため、賃金や加入期間が男性に届かず、年金額に影響が出たと考えられます。

5. 年金以外に老後資金を自分で作る

厚生年金の受給者であっても、年金月額が20万円未満という方は84.5%もいます。

初任給レベルの収入を、年金として受け取るのは至難の業になるでしょう。

実際には厚生年金の資格がなく、老齢基礎年金しか受け取れない方もいます。こうした方も母数に含めると、月額20万円未満の割合はさらに高まるでしょう。

実際、現在の高齢者も、多くは年金以外の収入や貯蓄の切り崩しによって生活しています。

年金で足りない分の備えは誰にとっても必要となるため、まずはねんきんネットやねんきん定期便などで年金の目安額を知ることが重要になります。

年金の目安額を知った上で、足りない老後資金は自分で作ることが必要です。

銀行預金でコツコツ貯めるのもいいですが、今はインフレのリスクが伴います。

iDeCoやNISAなどの非課税制度やその他の資産運用、あるいは保険などにもバランスよく振り分けながら、効率的に老後の準備を始めていきましょう。

参考資料

太田 彩子