帝国データバンクによると、 4月は5100品目、5月以降も4000品目近くが値上げの対象となっています。
こうした物価高では目先のやりくりが大変になりますが、定年退職を迎えたあとはさらに不安も高まることでしょう。
人生100年時代と言われていることもあり、定年後の長い老後生活について考える方も増えているのではないでしょうか。
定年後は、現役時代よりも減る出費がありますが、増える出費もあります。
しっかり想定しておかないと、その時になって「お金がない…」ということになり困ります。
今回は、定年退職で「減る出費・増える出費」を明らかにし、老後に向けた対策を考えます。
定年退職で「減る出費・増える出費」
定年退職を迎えると、現役時代に比べ生活費は7割ほどに縮小する傾向にあります。
しかし、年齢を重ねていくうちに、今まで見えなかった出費が増えていることに気が付きます。
まずは「減る出費・増える出費」をそれぞれ確認しましょう。
定年退職後に減る出費
定年後は、退職金で住宅ローンの返済をする方も多いはず。
完済すれば、月々のローンがスッキリなくなります。
また、子どもの就職する時期と重なることも多いです。
この場合、今まで必要だった学費や仕送りなど、教育費関係の支出がなくなります。
この2つは、毎月の支払いの中でも大きな割合を占めていたはずなので、無くなることで余裕が生まれます。
他に細かな支出では、不要な保障を見直すことで保険料を安く抑えることができます。
また、自動車の台数を減らしたり、所持しなくなったりすれば、それに伴う維持費も減ります。
さらに、現役時代は仕事用のビジネススーツ、それに伴うグッズなど、気を使う必要がありました。
しかし、退職後はカジュアルウェアで過ごすことができます。
人との交流が少なくなれば、それにかかる交際費もおのずと減少するでしょう。
定年退職後に増える出費
定年後の大きな出費は、やはり住まい関係。
家のリフォームには、先々の介護に備えるため、子ども世帯との同居のため、老朽化に対応するためなど目的がいろいろあります。
また、子どもが自立した後、結婚することになれば援助金も必要に。
さらに孫が生まれれば、出産のお祝い、初節句、入園、入学などのイベントごとの支出や、毎年のお年玉、誕生日のプレゼントなど細々した出費もあります。
また、年齢を重ねると、医療費が増えます。
肩・腰・膝などの痛みで接骨院に通ったり、成人病の治療で通院したりで、医療機関を利用するためです。
将来、介護が必要になれば、さらにお金が必要です。
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出所:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査2021(令和3)年度」
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査2021(令和3)年度」によれば、介護費用は、介護用の住宅改修や介護ベッドの購入などの一時的な費用の目安が平均74万円。
また、毎月の介護費用は平均8万3000円です。
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出所:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査2021(令和3)年度」
さらに、介護期間の平均は61.1カ月(5年1か月)。
トータルすれば、一人あたり580万円になります。
それ以外にも、娯楽・趣味など、広範囲で楽しもうとすれば、かかるお金がどんどん増えてしまいます。
定年退職後を充実した彩あるものにしたいと思えば必要な支出ですが、限度を設けておかないと後悔することになるかもしれません。
老後に向けた対策4選
老後になれば、医療費、介護費、リフォーム費、子や孫への援助資金など、新たな支出が生まれます。
そんな中、どうしても必要な支払いもありますが、無理する必要のないものもあります。
早めに見極め、晩年になり「お金がない…」ということのないよう対策しておきましょう。
そのための対策として次の4つを紹介します。
老後に増える出費対策1:老後の収支バランスを把握する
老後の収支バランスをしっかり把握しておきましょう。
例えば、老後にもらう年金で日々の生活を賄い、退職金や老後までの貯蓄が2000万円あるとすれば、介護枠に1000万円、リフォーム枠に500万円。
残り500万円を、旅行・趣味・孫へのプレゼント枠にするなど、優先順位の高い支出ごとにお金を分けておきましょう。
必要な資金ごとに別枠で管理しておけば、後年、貯蓄が底をつき、介護のお金が無い…という事態を避けられます。
老後に増える出費対策2:住まいのリフォームは計画的に行う
持ち家として住む場所がある安心感は大きいですが、必要に応じてバリアフリーにしたり、老朽化した部分のメンテナンスをしたりすることになります。
何度も家に手を入れれば、その分工事費もかかります。
住まいのリフォームをするときは、必要になる箇所をまとめて洗い出し、予算と見比べながら、どうするか決めましょう。
老後に増える出費対策3:趣味は1つに絞り娯楽は予算を決めて楽しむ
「人生1回きり、楽しまなくては損!」とばかりに、俳句、絵、旅行、ダンス、乗馬、園芸など、いろんなことにトライする方がいます。
しかし、新しいことを習う場合、そのための初期費用、人々との交際など、結構な費用がかかるもの。
途中でイヤになれば、無駄になってしまいます。
なるべくなら自分が向いていること1つを深めた方が、時間とお金を集中できるため、成果があがり、楽しめます。
もし、自分に向いている楽しみ方がわからないという場合は、自治体主催のカルチャースクールなど割安なもので試してみましょう。
また、たまに気晴らしするためのお出かけは月に1~2回、予算は3000円までというように、予算を決めて楽しむとムダ遣いをすることはありません。
老後に増える出費対策4:健康維持に努める
老後になれば、日々の健康管理が大切です。
お金と時間があっても健康を損なえば、人生を楽しむことができません。
食事の栄養バランスに気を配り、散歩やストレッチなどで適度に身体を動かしましょう。
自治体が行う健康診断を利用し、年に1回は自身の健康状態を確認することも大切です。
定年退職後の生活に備えて
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定年直後は、現役時代の感覚が抜けきらず、住宅費や教育費から解放されたことに安堵しがちです。
しかし、老後になれば新たな支出が生まれるもの。
早めに対策を打ち、長い老後を楽しみましょう。
参考資料
- 公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査2021(令和3)年度」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
- 帝国データバンク「「値上げの春」 4月は5100品目 5月以降も4000品目近く対象 「年2万品目」間近、値上げは今年秋まで長引く予想」
舟本 美子
