みなさんは「争族(あらそうぞく)」という言葉を知っていますか?「相続」の際に相続人間で遺産をめぐって争ってしまうことです。
筆者は銀行員時代、多くの「争族」をみてきました。そうならないために、大切な人たちに生前に築いた資産をどう引き継ぐのかをお手伝いしてきたわけですが、相続への想いは本当に人ぞれぞれでした。
ちなみに、筆者は昔父から「子どもたちにお金は一切残さない、夫婦で全部使い切る」と宣言されたことがあります。夫婦で培った資産なので、ぜひそうしてもらいたいなと感じた記憶があります。
ではいまのシニア世代は自分の資産についてどう思っているのか、今回は70歳代世帯のお金事情を軸に、40歳代との世代間比較や、「遺産」に関する考え方について確認していきます。
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1. 【70歳代 vs 40歳代】貯蓄の平均・中央値を比較
金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」から、70歳と40歳代の金融資産保有額を確認しましょう。
※平均は一部の大きい数値(今回はいわゆる「富裕層」)に引き上げられる傾向があります。よって、実態に近い中央値が参考にしやすいでしょう。
1.1 70歳代世帯「金融資産保有額」
※金融資産を保有していない世帯を含む
- 平均:1905万円
- 中央値:800万円
1.2 40歳代世帯「金融資産保有額」
※金融資産を保有していない世帯を含む
- 平均:825万円
- 中央値:250万円
70歳代、40歳代ともに平均と中央値に乖離がありますね。つまり同じ世代の中でも個人差・世帯差があるということです。
次で詳しく触れていきます。