春になり暖かさも増してきました。コロナ禍でずっと旅行や外出を控えていた方もいらっしゃるでしょうが、旅行やイベントなどの多くが通常を取り戻しつつあります。

マスクを外しての外出も増えていますので、このまま落ち着いた生活を取り戻したいですね。

定年退職を迎えたあと、こうした旅行などを楽しみにしている方も多いでしょう。

退職後の生活を支えてくれるのは、主に年金です。

今回は、年金の中でも一部の方が該当する「長期加入等の特例」について解説します。

44年特例ともいわれる本制度のポイントを押さえましょう。

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1. 特別支給の老齢厚生年金は65歳より前にもらえる

日本の現行の年金制度において、厚生年金や基礎年金(国民年金)は、65歳からの受給開始となっています。

男性の方と公務員だった方は昭和36年4月2日以降生まれ、女性の方は昭和41年4月2日以降生まれの方だと、老齢厚生年金も老齢基礎年金も65歳からの支給開始です。

それ以前に生まれた方で、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)かつ1年以上厚生年金に加入していた方は、65歳よりも前に特別支給の老齢厚生年金・報酬比例部分(65歳以降の厚生年金部分)や定額部分(老齢基礎年金部分)を受給することができました。

これは、年金の繰上げではありませんので、年金が生涯にわたって減額されるものではありません。

1.1 老齢厚生年金の受給開始年齢

出所:日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金の支給年齢」

例えば、2023年4月2日に64歳になる男性Aさんは、60歳まで厚生年金に38年加入し、その後も厚生年金に加入し働いています。

64歳になり特別支給の老齢厚生年金を請求することができるようになりました。

この場合、年金の請求をすることで、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給できます(給与やボーナス、年金額によっては在職老齢年金の対象となり支給停止の場合もあります)。

同じ生年月日の女性Bさんは、61歳からすでに特別支給の老齢厚生年金を受けています。このように、生年月日や性別により受給できる年齢が違います。