高齢化が進行する中で、老後の生活に不安を持つ方も少なくありません。
「人生100年時代」と言われる長寿社会を単身で迎える「おひとりさま」も、珍しくはなくなりました。
老後を迎える前に、老後資金を自助努力で準備する必要があります。
今回はおひとりさまの平均貯蓄額を年代別に解説し、老後生活を支える資産設計の方法を紹介します。
増加する「おひとりさま」世帯、その割合とは
厚生労働省管轄の国立社会保障・人口問題研究所「表7-1 総世帯および世帯の種類別世帯数:1920〜2020年」によると、1960年以降、一般世帯に占める単独世帯の世帯数及び割合は増加傾向にあります。
未婚率の上昇やライフスタイルの近代化や核家族化の増加を背景に、今後も単身世帯は増加すると予想されます。
単身世帯は家族で支え合うことが難しいため、経済的に困窮する可能性があります。
2023年2月1日に公表された厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和4年11月分概数)の結果を公表します」によれば、生活保護受給世帯に占める高齢者世帯の割合は55.4%、そのうち単身世帯が51.2%、2人以上の世帯が4.2%です。
おひとりさま世帯は病気や介護、失業などで家族を頼れない分、将来に備えて貯蓄を用意しておく必要があると言えそうです。
20~70歳代「おひとりさま」の貯蓄額。平均と中央値を確認【最新データ】
では、おひとりさまはどれくらいの貯蓄を保有しているのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」によると、単身世帯の年代別の平均貯蓄額は以下のとおりです。
20歳代の平均貯蓄額は176万円ですが、50歳代で1000万円を突破し、年齢が上がると平均貯蓄額も増加していることがわかります。
しかし、実態に即した中央値は、平均値と大きく乖離しています。
より実態に近い中央値では、20歳代で20万円、30歳代で75万円、40~50歳代ともに53万円となっており、現役世代は100万円未満となっています。
年齢が上がると中央値と平均値の乖離が大きくなり、貯蓄の二極化がわかる結果となりました。
おひとりさまの老後生活に必要な平均額をシミュレーション
では、老後生活で必要な金額と現在の貯蓄額の差額を知っておきましょう。
総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)結果の概要」によると、単身世帯の実収入は13万5345円、支出合計は14万4747円となっており、不足額は9402円です。
不足額を10年間、20年間、30年間で積算すると、老後生活で不足する合計額は以下のとおりです。
おひとりさまの老後の必要額をシミュレーション
- 10年間:9402円×12カ月×10年間=112万8240円
- 20年間:9402円×12カ月×20年間=225万6480円
- 30年間:9402円×12カ月×30年間=338万4720円
上記は平均額となっており、たとえば収入部分は国民年金か厚生年金か、また年金の加入状況によっても個人差が大きくなります。
支出についても上記は持ち家が想定されているため、賃貸の場合はさらにかかるでしょう。また、病気になったときや介護費用なども必要となります。
収支の状況やライフスタイルによって上記の不足額は変動することにご留意下さい。
おひとりさまが老後に向けて考えたい資産設計2つ
現在の貯蓄額と老後に必要な金額の差額は、自助努力によって用意する必要があります。
貯蓄に合わせて、老後に備えた資産設計の例をご紹介します。
老後に向けて考えたい資産設計1.iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に受給できる私的年金制度です。
自分が拠出した掛金を拠出して積立したお金を運用し、運用成果を基に給付額が決定されます。
運用益は非課税の取り扱いです。
また、拠出した掛金は全額所得控除の対象なので、節税効果があります。
老後の資産設計を目的として設計された制度であり、原則60歳まで引き出しできませんが、強制的に老後の資産形成ができるでしょう。
老後に向けて考えたい資産設計2.つみたてNISA
つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、長期・積立・分散投資を支援する制度です。
年間40万円を上限に投資可能で、最長で20年間は投資から得た利益に課税されません(最大非課税投資枠800万円)。
少額で毎月少しずつ資産形成をしたい人を支援するために設計されています。
投資対象の投資信託は金融庁の審査に合格したものに限定されているので、投資に不安がある初心者でも比較的安心できるでしょう。ただし運用なのでリスクがあります。
また、2024年から新NISAが開始するので、現行のつみたてNISA制度が変更されることにご留意ください。
まとめにかえて
おひとりさまの平均貯蓄額は全年代で871万円です。
年代が上がると平均値も上がりますが、中央値と乖離しており、同じ世代でも格差が大きいのが実情です。
おひとりさまで老後を迎えることが珍しくない時代に、自助努力で老後の備えをしておくことが大切です。
今のライフスタイルから老後資金を試算し、ご自身の老後に必要な資金を把握することからはじめましょう。



