家計を支えていた夫が亡くなった場合、残された妻の生活は苦しい状況に陥ることになりかねません。大黒柱の夫を亡くした妻の生活を支えるのが「遺族年金」です。

遺族年金は老齢年金、障害年金とともに、万が一の場合に私たちの生活を支えてくれる公的年金のひとつです。

しかし遺族年金について、どのようなときに誰がいくら受け取れるのかは知らない人も多いようです。

今回は遺族年金とはなにか、夫を亡くした妻が受け取る遺族年金の受給要件や遺族年金がいくらくらい受け取れるのかについて解説します。

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1. 遺族年金とは?遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件も確認

遺族年金とは、一家の大黒柱となる働き手や年金受給者などが亡くなったときに、ご家族に給付される年金です。遺族年金には大きく2種類あり、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分けられます。

遺族基礎年金は自営業者などの国民年金の加入者が亡くなった時に、遺族厚生年金は会社員や公務員などは厚生年金の加入者が亡くなった場合に遺族に支給されます。

遺族基礎年金・遺族厚生年金はともに要件を満たした場合に、亡くなった月の翌月分から受け取ることができます。

出所:厚生労働省「遺族年金ガイド令和4年度版」

1.1 遺族基礎年金

遺族基礎年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」、または「子」が受け取ることができます。遺族基礎年金は子に対して支給されており、子がいない場合は妻への支給はありません。

遺族基礎年金の受給要件は以下のとおりで、どれかに当てはまる場合に支給されます。

遺族基礎年金の受給要件

① 国民年金の被保険者である間に死亡したとき。
② 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で日本国内に住所がある人が死亡したとき。
③ 老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき。
④ 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方が死亡したとき。

遺族基礎年金の年金額は一律で、子の人数に応じて加算されます。

子のある配偶者が受け取るときは以下の金額が支給されます。

出所:厚生労働省「遺族年金ガイド令和4年度版」

遺族基礎年金の金額

77万7800円+子の加算額

【子の加算額】
1人目および2人目の子の加算額 各22万3800円
3人目以降の子の加算額 各7万4600円

1.2 遺族厚生年金

遺族厚生年金は、亡くなった人が次のいずれかの要件に当てはまる場合に遺族に支払われます。

遺族厚生年金の受給要件

① 厚生年金保険の被保険者である
② 厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やけがで5年以内に死亡したとき
③ 障害厚生年金1級・2級の受給者が死亡したとき
④ 老齢厚生年金の受給権者 が死亡したとき
⑤ 老齢厚生年金の受給資格期間(25年以上)がある人が死亡したとき

夫の死亡時に妻が30歳未満で、かつ子がいない場合は受給期間が5年間のみとなります。

妻が30歳以上、または夫の死亡時に子がいた場合は、生涯受給できます。