メリット3.生涯賃金・年金額が増える

次の3つのパターンを想定して、生涯賃金と年金額を出してみます。

  1. 定年(60歳)まで正社員で働いた場合
  2. 30歳で退職し、35歳~60歳までパート(扶養内)で働いた場合
  3. 30歳で退職し、35歳~60歳までフルタイム(扶養外)で働いた場合

1.定年(60歳)まで正社員で働いた場合

  • 生涯賃金(大学・大学院卒女性)※1:2億1000万円
  • 退職金(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者平均)※2:約2000万円

計2億3000万円

  • 年金(193万円(※3)を25年もらうと仮定):約4825万円

合計2億7825万円

※1 生涯賃金の数値は独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022|労働統計加工指標集|21生涯賃金など生涯に関する指標」を参照。
※2 退職金の数値は厚生労働省「平成30年就労条件総合調査の概況|退職給付(一時金・年金)の支給実態」を参照。
※3 平均標準報酬額47万円、勤続年数37年の報酬比例部分に基礎年金79万5000円(令和5年度基礎年金満額)を足した額。

2.30歳で退職し、35歳~60歳までパート(扶養内)で働いた場合

生涯賃金(退職前:年収400万円、パート:年収100万円と仮定)

  • 退職前(7年間):2800万円
  • パート(25年間):2500万円

計5300万円

  • 年金(95万円(※)を25年もらうと仮定):2375万円

合計7675万円

※平均標準報酬額33万円、勤続年数7年の報酬比例部分に基礎年金79万5000円(令和5年度基礎年金満額)を足した額

3.30歳で退職し、35歳~60歳までフルタイム(扶養外)で働いた場合

生涯賃金(退職前:年収400万円、フルタイム:年収300万円と仮定)

  • 退職前(7年間):2800万円
  • フルタイム(25年間):7500万円

計1億300万円

  • 年金(136万円(※)を25年もらうと仮定):3400万円

合計1億3700万円

※平均標準報酬額33万円、勤続年数7年の報酬比例部分と平均標準報酬額25万円、勤続年数25年の報酬比例部分を足し、さらに基礎年金79万5000円(令和5年度基礎年金満額)を足した額

大学卒業後から60歳まで正社員で働いた場合は、生涯賃金は退職金を入れて2億3000万円、年金は193万円(月額16万円)となりました。

大学卒業後から30歳まで正社員で働き、35歳から60歳まで扶養内のパートで働いた場合は、生涯賃金は5300万円、年金は95万円(月額7万9000円)となりました。

大学卒業後から30歳まで正社員で働き、35歳から60歳まで扶養を外れてフルタイムで働いた場合は、生涯賃金は1億300万円、年金は136万円(月額11万3000円)となりました。

この試算では、ずっと正社員の場合と、退職してパートで働いた場合では、生涯賃金が4倍以上の差がつくことがわかりました。また、同じ退職したパターンでも、その後フルタイムで働けば、パートで働く場合と比べて生涯賃金は2倍に増えました。

年金についても、厚生年金に加入することで年金額が増えます。保険料の負担に対して、増える年金額は以下の表がわかりやすいでしょう。

出所:厚生労働省「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」

払った保険料の元を取るには16年かかることになりますが、社会保険の加入のメリットは、年金の増額だけではありません。

「障害年金や遺族年金が充実する」、「傷病手当金や出産手当金が支給される」などのメリットもあります。