FXの口座は開いたけれど、やり方がわからないという人もいるでしょう。そもそもどういう状態が取引の「始まり」で、どういう状態が取引の「終わり」なのでしょうか。ここでは、そのような基本的なところから解説します。ぜひ参考にしてください。ちなみに、口座開設の方法やFX会社の選び方については、下記の記事で詳しく説明しているので、あわせて読んでみてください。
>>【口座開設の方法】FXの口座開設がすぐわかる!手続きや注意点を確認しよう
>>【FX会社の選び方】FX会社選びのために、FX業界の歴史を理解しておこう
目次
1 まずは口座に入金しよう。「クイック入金」を利用すると便利
2 FXにおいて取引を「始める」「終える」とは
3 取引の「開始」や「終了」に関して、覚えておきたい用語
4 FXでは「買い」からでも「売り」からでも取引を始めることができる
5 FX取引を始めるにあたって決めなければならないこと
5.1 どの通貨ペアか
5.2 買うのか、売るのか
5.3 通貨やFX会社によって呼び値が異なるので注意
5.4 pipsもFX会社によって定義が異なる
5.5 取引数量はLotによって決める
5.6 FXは注文の種類も多彩
6 FX取引の多彩な注文を使いこなそう
7 まとめ
1 まずは口座に入金しよう。「クイック入金」を利用すると便利
口座の開設が完了し、パスワードが届けば、取引を始めることができます。さっそく口座に入金しましょう。
ほとんどのFX会社では入金額に制限(上限・下限)はありません。ただし、最低限必要な証拠金分は入金しなければなりません。1ドル=100円の場合、1万通貨の取引をするために必要な証拠金は約4万円、1,000通貨の取引をするために必要な証拠金は約4,000円です(いずれもレバレッジが25倍の場合)。
レバレッジいっぱいで取引をすると、為替レートの変動により、ロスカットになる可能性もあります。取引したい額に対して余裕のある資金を入金するか、慣れないうちは「預け入れた証拠金の半分だけ投資する」といったように、リスクを抑え気味にするのも一つの方法でしょう。
FX会社の口座に入金するのに便利なのが「クイック入金」です。FX会社と提携する金融機関から入金すると、24時間・365日、即時にFX会社の口座に反映されます(メンテナンス時間などを除く)。ほとんどのFX会社で入金手数料も無料です。
利用できる提携金融機関はFX会社によって異なりますが、ゆうちょ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、ジャパンネット銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、楽天銀行、イオン銀行など主要な銀行は多くのFX会社と提携しているので、便利に使えるでしょう。
2 FXにおいて取引を「始める」「終える」とは
FXにおいて取引を「始める」とはどういう状態でしょうか。FXに限らず、投資において取引を「始める」とは、注文を出すことを言います。ただし、注文を出しただけでは、まだ取引の売買は成立していません。たとえば、株式取引の場合、注文を出しても相手がいなければ取引が成立しません。FXの店頭取引(相対取引)であれば、投資家の注文に対して、FX会社がその注文を受けてくれなければ、取引が成立しません。
注文を出した人とそれを受けてくれる人の条件が合致して、取引が成立した状態を約定(やくじょう)といいます。注文を出すことを取引開始と言うこともできますが、一般的には、約定し、ポジションを持つことを取引開始とすることが多いようです。
取引を「始める」のが約定だとすると、取引を「終える」とは「決済」することです。こちらも、注文を出すだけでなく決済注文が約定したときに取引終了と言います。
3 取引の「開始」や「終了」に関して、覚えておきたい用語
先物市場や株式市場は国内外で長い歴史があります。このため、使われている用語についても、日常生活になじみがないものもあります。しかも日本語と英語が混在しているのもわかりにくいところです。
取引の「開始」、「終了」などに関して、覚えておきたい用語をまとめておきます。並列している日本語の用語と英語(カタカナ)の定義は厳密には違うものもありますが、一般的にはほぼ同じ意味で使われます。
約定(やくじょう)
取引の売買が成立すること
ポジション/玉(ぎょく)
約定してまだ決済していない状態の取引。「ポジション(玉)」を「建てる」「持っている」などと使います。ポジション自体を「建玉(たてぎょく)」とも言うこともあります。
エントリー
注文を出して約定し、取引を始めること。「建玉する」、「玉を建てる」などとも言います。
ロング・ショート
「買い」をロング、「売り」をショートと言います。「ロングエントリー(買い建て)」、「ショートエントリー(売り建て)」、「ロングで入る」「ショートで入る」などの表現もあります。
決済(けっさい)
代金の支払いなどによって売買取引を完了させること。FXでは原則として現物の受け渡しは行わず、反対売買による差額の分だけを授受して決済を行います。
イグジット/手仕舞い(てじまい)
注文を出して約定し、取引を終えること。
4 FXでは「買い」からでも「売り」からでも取引を始めることができる
FXはどうなったときに儲かるのでしょうか。FXで利益を出すには2つの方法があります。1つ目は「為替差益」、もう1つは「スワップポイント」です。スワップポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。ここでは主に「為替差益」ついて説明しましょう。
「為替差益」とは、その名のとおり、変動する為替レートの差によって利益を出すことです。たとえば、1米ドル=100円のとき、今後ドルが高くなると予想した場合には「買い」注文を出します。約定し、その後、予想どおりドルの価格が上昇し、1ドル=101円になったときに決済すれば1円の儲けになります。
逆に、1ドル=100円のとき、今後ドルが安くなると予想した場合には、「売り」注文を出します。予想どおりドルの価格が下落し、1ドル=99円になったときに決済すれば1円の儲けになります。
このように、FXの大きな特徴は「買い」からだけでなく「売り」からでも取引が始められることです。「持ってもいない通貨をどうやって売れるのか」と不思議に思う人もいるかもしれません。FXは通貨を売買する取引といっても、銀行の両替所のように、現物の通貨を交換するわけではなく、あくまでも形の上だけのものです(中には、実際に外貨を受けとることができるFX会社もあります)。
FXでは、現物の通貨のやりとりをせず、取引開始時と反対の売買により決済することになります。「売り」から始める場合は、形の上では、売った通貨を買い戻して決済することになりますが、ここでも実際に現金をやりとりするわけではありません。
両建て取引とは
同一通貨ペアについて「買い」と「売り」のポジションを同時に保有することを「両建て(りょうだて)」と言います。一見、レートの変動リスクを抑えることができるように感じるかもしれませんが、値動きが激しい場合などは、両方のポジションがいずれも損切りに引っかかることがあるなど、初心者にはなかなか使いこなすのが難しい手法です。慣れるまでは、「買い」または「売り」のどちらか一方でエントリーするほうがいいでしょう。
>>参考:FXの「スワップポイント」って何?夢の金利生活は可能?
5 FX取引を始めるにあたって決めなければならないこと
5.1 どの通貨ペアか
日本の上場企業は3,000社以上もあります。銘柄数も3,000以上あるわけです。それに比べてFXでは取引できる通貨は限られています。
日本で人気のある主要な通貨では、
日本円/米ドル/ユーロ/英ポンド/スイスフラン/豪ドル/ニュージーランドドル
など。
これらよりマイナーな通貨としては
カナダドル/トルコリラ/香港ドル/南アフリカランド/ポーランドズロチ/ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ
などです。
通貨の種類は20種もありませんが、取引ではこれらの通貨の「組み合わせ」になるため、FX会社によっては50種類以上の通貨ペアを取り扱っているところがあります。
組み合わせは大きく分けると「日本円とのペア」「米ドルとのペア」「その他の通貨同士のペア」です。中には値動きの大きな通貨ペアもありますが、FX初心者の人は、まずは流動性が高い米ドル/円、ユーロ/米ドルなどから始めるといいでしょう。
5.2 買うのか、売るのか
通貨ペアを決めたら、前述したように、「買い」から始めるのか、「売り」から始めるのかを決めます。今後その通貨ペアが高くなると予想した場合には「買い」注文を出します。逆に安くなると予想した場合には「売り」注文を出します。
FX初心者の人が最初にとまどうのが、通貨のレートの表示でしょう。株価は1つの銘柄に1つしかありませんが、FXではレートが2つ表示されています。
FX取引では、「私は、買うなら○円○銭、売るなら○円○銭」と買値と売値を同時に提示します。これを「2 Way Quote(ツー・ウェイ・クオート)」、あるいは「2 Way Price(ツ-・ウェイ・プライス)」と言います。
買値(あなたにとっての売値)を「Bid(ビッド)」、売値(あなたにとっての買値)を「Ask(アスク)」または「Offer(オファー)」と言います。そして、この買値と売値の差を「スプレッド(spread)」と言います。
BidとAskについて、「どっちが売値でどっちが買値か覚えられない」と感じるかもしれません。後ろに書いてあるほうの価格(通常は高いほうの価格)が、あなたが通貨を買う場合のレート、前に書いてあるほうの価格(通常は安いほうの価格)が、あなたが通貨を売る場合のレートです。レートの見方やスプレッドについては、下記の記事で詳しく説明しているのであわせて読んでみてください。
>>参考:「スプレッド」がわかれば、FXの取引コストやリスクの仕組みがわかる!
5.3 通貨やFX会社によって呼び値が異なるので注意
FX会社のサイトやツールには、通貨ペアのレートがリアルタイムで表示されています。「Bid(ビッド)」と「Ask(アスク)」の「2 Way Quote(ツー・ウェイ・クオート)」になっているのもわかりにくいですが、さらにわかりにくいのは、小数点以下に数字がいくつも書いてあることです。しかも、通貨ペアによって、小数点以下の桁数が異なります。
たとえば、米ドル/円は「111.903」、ユーロ/米ドルは「1.16382」などと表示されています。小数点以下どこまで表示するかは、FX会社によって異なりますが、円とのペアの場合は小数点以下3位まで、米ドルとのペアの場合は、小数点以下5位まで表示されることが多いようです。
さらにここで注意すべきは呼び値(よびね)です。値段を決める最小単位(刻み)を呼び値と呼びます。通貨ペアによって呼び値が異なり、また、FX会社によっても異なります。
多くのFX会社では、米ドル/円、ユーロ/円など、日本円との通貨ペアの場合、呼び値の最小変動単位は「0.001」です。また、ユーロ/米ドル、ユーロ/スイスフランなど、円以外の通貨ペアの場合、呼び値の最小変動単位は「0.00001」です。
ただし、FX会社の中には、米ドル/円の最小変動単位が「0.005」や「0.01」というところもあります。取引所取引の「くりっく365」も、呼び値は比較的大きくなっています。
呼び値が「0.005」の場合、レートはその刻み値でしか表示されません。「111.905ドル」の次は「111.910ドル」です。「111.908ドル」のようなレートはありません。スキャルピング(短い時間でわずかな利幅を狙い、1日に何度も取引を行う手法)とまではいかなくも、0.1銭単位で利益を狙いたいという人には、呼び値が小さいほうが使い勝手がいいでしょう。
5.4 pipsもFX会社によって定義が異なる
FX会社のサイトなどを見ると、通貨ペアごとのスプレッド(売値と買値の差)などについて、単位が「銭(せん)」と書いてあるのものと「pips(ピップス)」と書いてあるものがあることに気付くでしょう。「銭」は「0.01円」、すなわち100分の1円のことです。では「pips」はどのような単位でしょうか。実はこのpipsもFX会社によって定義が異なるので注意が必要です。
多くのFX会社では現在、米ドル/円、ユーロ/円など、日本円との通貨ペアの場合、呼び値の最小変動単位は「0.001」です。また、ユーロ/米ドル、ユーロ/スイスフランなど、円以外の通貨ペアの場合、呼び値の最小変動単位は「0.00001」です。このため、FX会社の中には、円との通貨ペアでは「0.001円」を1pips、米ドルとの通貨ペアでは「0.00001米ドル」を1pipsと呼ぶところがあります。
ただし、このように、呼び値の最小変動単位を1pipsとするFX会社はまれです。というのは、少し前まで、個人投資家向けFXの呼び値は、ドル/円であれば1銭(0.01円)までしか、ユーロ/ドルであれば0.0001ドルまでしかありませんでした。ところが最近ではそのもう一つ下の桁まで表示されるようになりました。しかし、多くの投資家は、当時の名残で、今でも1銭(0.01円)単位、0.0001ドル単位で取引の収益などを語ります。
FX会社でも、かつて1銭(0.01円)単位だったものが1桁下がったので「1厘(りん:1銭の10分の1)」と呼ぶかと言えば、そういうところはないようです。そのまま「銭」を使って「0.1銭」などと表示しています。米ドルなどとのペアについても、1桁下げた「0.00001」を「1pips」とするのではなく、そのまま「0.0001」を「1pips」とし、「0.00001」は「0.1pips」としています。
たとえばユーロ/米ドルのレートが「1.16342(Bid)」「1.16349(Ask)」の場合、その差は0.00007なので「スプレッドは7pips」と言ったほうが簡単ですが、実際には「スプレッドは0.7pips」などと、1桁上から見た数値が表示されます。少しわかりにくいですね。
さらにわかりにくいのが、取引ツールの価格の注文の単位が、FX会社によって異なることです。あるFX会社では、「0.00001」などと、1円や1ドルに対する割合で指示するようになっています。また別のFX会社では「銭」や「pips」単位で指示するところもあります。さらに、FX会社の中には最小変動単位で「100」「1000」などと指示するところもあります。慣れれば簡単ですが、最初に複数のFX会社を使っていると、注文の際に戸惑うことがあります。使い勝手なども含めて比較してみるといいでしょう。
5.5 取引数量はLotによって決める
FX会社ごとに取引単位数を決めています。かつての主流は1万通貨単位で、これを1Lot(ロット)とするFX会社がほとんどでした。最近ではその10分の1の1,000通貨を1Lotとするところが増えています。中には、主要な通貨ペアであれば1通貨から取引できるところもあります。その場合、1通貨が1Lotとなります。
1注文あたりの発注上限は3,000Lot~5,000Lot(300万~500万通貨)というところが多いようです。中には1万Lot(1,000万通貨)の注文ができるFX会社もあります。
5.6 FXは注文の種類も多彩
FXは注文の種類も多彩です。成行注文、指値・逆指値注文、IFD注文、OCO注文、トレール注文や、さらにこれらを組み合わせた注文方法もあります。それぞれの注文方法については以下で説明します。
6 FX取引の多彩な注文を使いこなそう
FXにはさまざまな注文方法があります。これらをうまく使いこなすことで、チャンスを生かすとともに、価格が予想どおりに動かなかったときなどのリスクを低減することもできます。主な注文方法を紹介します。
・成行注文
成行(なりゆき)注文は、あらかじめレートを指定せず、現在のレートで注文を出す方法です。「クイックトレード」などと呼ばれることもあります。
「現在のレート」と言っても、相場は常に動いているため、レートも刻々と変動します。特定のレートで注文を出しても、その情報がFX会社に届き、約定処理を行っている間にレートがかわってしまうこともあります。また、通常は発注後まもなく約定しますが、市場の流動性が低いときには約定までに時間がかかったり、逆に、重要な経済指標の発表などで値動きが激しい場合には、注文価格と約定価格のずれ(スリッページ)が大きくなったりする場合もあります。
FX会社によっては、このスリッページの許容幅を設定し、スリッページが不利になる場合には約定しないという設定ができるところもあります。
・指値注文
指定したレート以下で買う、または指定したレート以上で売るといったように、レートを指定する注文方法が指値(さしね)注文です。指定したレートと同じか、または指定レートよりも有利な取引レートを約定値として適用します。
・逆指値注文
指値注文は「安くなったら買う、高くなったら売る」という注文ですが、それとは逆に、「安くなったら売る、高くなったら買う」注文が逆指値(ぎゃくさしね)注文です。
ある一定の値を抜けたら上昇トレンドや下降トレンドに付いていくために買ったり売ったりすることができます。
逆指値注文はこのトレンドフォローよりも、損切りのために使われることが多いでしょう。予想が外れ、レートが○円以下になったら(○銭下がったら)決済(手仕舞い)して許容できる範囲で損失を抑えます。このため、逆指値注文を「ストップ注文」と呼ぶことがあります。
もちろん、必ずしも損切りでなくても、建値付近に注文を入れて「損失だけは避ける」といったやり方をしたり、「利益が○銭以下になったら」手仕舞って、利益を確定させたりといった使い方もできます。
・IFD注文
IFD(If Done:イフダン)注文は、新規注文と同時に、その注文が約定したポジションの決済注文を同時に出すことができる注文方法です。「米ドルを1ドル=100円で買って、101円で売る」といったように、利益を確定することができます。
・OCO注文
OCO(One Cancels the Other:オーシーオー)注文は、2つの指値注文を同時に出しておき、いずれか一方が約定したらもう一方が自動的に取り消される注文方法です。新規注文ではトレンドフォローで、決済注文では利益または損失を確定することができます。
・トレール注文
トレール(trail)は追跡するという意味です。一定の値幅(トレール幅)を指定し、その値幅以上に価格が不利な方向に進むと逆指値注文と同様に決済します。買い(売り)ポジションの場合に、相場が上昇(下降)していれば、指定したトレール幅を保ちながら逆指値を切り上げ(切り下げ)ます。
実際の取引では、上記のようなさまざまな注文を組み合わせた注文方法もあります。
7 まとめ
以上、FXのやり方についてまとめました。文章にすると長くなりますが、実際に取引をしてみれば、注文や決済のやり方もすぐに慣れるはずです。ほとんどのFX会社では、少ない金額で始めることができますし、本番と同じツールでデモトレードができるところもありますので試してみるといいでしょう。
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上山 光一