3. レバレッジを効かせることのデメリット

3.1 損失が大きくなる可能性がある

現物取引と比べると、同じ下落率であってもレバレッジ取引したときの方が大きな損失となります。

自己資金50万円で株式を買い、20%下落したとすると、現物投資の場合の損失は10万円です。

一方レバレッジ取引で自己資金50万円を保証金として預け、その3倍の150万円分の取引をしていた場合、同じ20%の下落率でも損失は30万円になります。

特に空売りの場合は損失の上限がありません。

保有する銘柄の値下がりで出る最大の損失は株式が0円になったときであり、限度があります。しかし空売りの場合は、価格が上がれば上がるほど損失となるわけです。株式の値上がりには上限がないため、損失も無限に膨らみます。

3.2 負債が残る可能性がある

現物取引の場合は、たとえ株式が0円になっても損失が投資額を超えることはないため、負債は残りません。
しかしレバレッジ取引の場合、資産価値が大きく値下がりすれば負債が残るケースがあります。

例えば自己資金50万円を保証金として預け、その3倍の150万円分の信用取引をしていたとします。株価が半値に値下がりして売却した場合、その損失額は75万円。

自己資金は50万円であるため、25万円分の負債が残ることになるわけです。

不動産投資の場合も、ローンを組んで物件を購入したものの経営がうまくいかずに物件を手放すことになった場合、物件を売却してもローンを返済しきれず負債が残るケースがあります。

3.3 追証リスク

「追証」とは「追加保証金」や「追加証拠金」を略したものです。

株式を例に挙げて「追証」のリスクを解説しましょう。

先述の通り、レバレッジ取引を行うためには委託保証金が必要です。この委託保証金には、証券会社ごとに最低の委託保証金維持率(追証ライン)が設定されています。

委託保証金維持率は保有する株の値動きによって上下するため、株が値下がりすると委託保証金が追証ラインを下回るケースが出てきます。

その場合、追証ラインを回復するまでの保証金を追加で差し入れなければなりません。これが「追証」です。

追証の期日は多くの証券会社で翌営業日もしくは翌々営業日までと短いため、現金での差し入れなどが必要となります。期日までに追証が解消されなかった場合、すべての未決済銘柄が強制的に決済されてしまうのが一般的です。

FX・仮想通貨の場合は証拠金維持率が100%以下になると証拠金不足になり、追証が必要になるケースが多いでしょう。同時に、新規注文は強制的に取り消し、停止されます。

期日までに追証が解消されない場合、強制売却・強制決済などの処置がとられるのが一般的です。

3.4 強制ロスカット

上記の保証金・証拠金維持率判定による追証とは別に、証券会社や仮想通貨交換業者が定めた一定の証拠金維持率のパーセンテージを下回ると自動的に「ロスカット」が行われます。

「ロスカット」とは、強制的に全注文の取り消し、全保有資産の売却、全未決済ポジションの強制決済が行われること。自動ロスカットの基準は50%としているところが多いようです。

強制ロスカットは損失の拡大を防ぐメリットもある半面、その時点で損失が確定してしまいます。

3.5 金利変動リスク(不動産投資の場合)

レバレッジをかけた不動産投資で気を付けたいのが金利変動リスクです。

ローンを組んで物件を購入することになるため、必ず金利が発生します。日本では長らく低金利政策が続いているため、変動金利でローンを組むとかなり低い金利で借り入れすることが可能です。
しかし今後の物価上昇や経済変動などの影響によって金利が上昇した場合、毎月の返済額やトータルの返済額も増えることになります。

キャッシュフローが悪化するなど、当初の収支計画が狂ってしまう可能性があることに注意しましょう。