3. 効率的な「インプット」のしかた

 おじさんにもなると、多くの人が記憶力の低下を感じているのではないでしょうか。ここでは、効率的の良いインプットのコツを紹介します。

3.1 テキストの「目次のコピー」を持ち歩く

 資格試験の勉強では、全体構造を把握してから取り組みましょう。とくに法律関連の学習では、詳細や例外だけに注意していると、「その法律の本来の目的」といった本質的な部分が見えなくなってきます。

 全体像の把握のために効果的なのが、テキストの目次をコピーして持ち歩き、学習した項目をチェックしたり、日付をメモしたりすることです。学習を始める前にも目次に目を通して、今日学習することは全体のどの位置にあたるのか、前回学習したこととどう関係するのかなどを確認します。

3.2 「寝る直前」が暗記のゴールデンタイム

 インプットで大事なのは、「寝る前に行うこと」です。勉強してすぐに寝ると、睡眠中に記憶が整理され、情報が脳に定着しやすくなるからです。

 ただし、演習問題や新分野のテキストを読むといった刺激の強いことをすると、脳が興奮して眠れなくなります。寝る直前はその日にインプットしたことの復習や、演習問題で間違えた箇所の再確認などを行うようにします。

3.3 実戦対策のスタートは「過去問を解く」ことから

 問題集を徹底的に仕上げるのであれば、作り手の主観が入っている予想問題よりも、過去問のほうが効果的です。

 解くタイミングは3回あります。1回目はテキストを一度読み終えたあと、直近の試験をまとめた過去問を解き、使っているテキストが試験の出題範囲を網羅しているかどうかを確認します。その後、分野ごとにテキストで再確認したら、次は分野ごとにまとまった過去問を解き、内容の理解度を確認します。ただ解くのではなく、正解できたかどうかを問題の横に記録していきます。最後は試験の1カ月から2週間前に、過去5年分くらいの過去問を通しで解きます。点数が悪かった分野はテキストを再度読み込み、基礎から確認します。

 もちろん、勉強法にも相性があり、こうしたやり方で必ず合格できるとはかぎりません。私も社労士試験に4回目の挑戦で合格しましたが、失敗するたびに、やり方を変えて、勉強を続けていきました。たとえ一度や二度やってダメでも、自分の可能性を信じ、あきらめずに挑戦し続けることが大切です。

 

■ 佐藤 敦規(さとう・あつのり)
 社会保険労務士。中央大学文学部卒。新卒での就職活動に失敗。印刷業界などを中心に転職を繰り返す。窓際族同然の扱いに嫌気がさし、50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。企業を相手に、就業規則や賃金テーブルの作成、助成金の申請などの相談を受けている。資格取得によって収入が200万アップするとともに、クライアントの役に立っていることを実感し、充実した生活を手に入れた。お金の知識を活かして、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「THE21」などの週刊誌やWebメディアの記事も執筆している。

 

佐藤氏の著書:
おじさんは、地味な資格で稼いでく。

佐藤 敦規