本業の関係で、本社のある北米イリノイ州シカゴのお隣に四半期に一度の頻度で出向くのだが、日本では見かけない北米専用の日本車を見かけることが多くなってきた。

広い国土ゆえに地域差はあると思うが、最近特に意識するのはSUBARU。中でも現行型と思われるモデルをやたらと見かけるようになった。日本でも最近のSUBARUの快進撃には目を見張るものがあるが、北米本社の同僚の間でも「SUBARUはCool!」なのだそうだ。

シカゴの街にとけこんでいる日本車たち

シカゴのダウンタウン(筆者撮影、以下同)

巨大なミシガン湖を挟んで対岸に位置するデトロイトでは、さすがにD3(ひと昔前はBig 3だったがBigとは形容できなくなってきたので“Detroit 3”)のお膝元ということもあり、アメリカ車が幅を利かせているし、元々保守的と言われるオハイオに至っては全くと言っていいほど日本車に出会うことはない。

ところがシカゴに戻ってくると、普通のおじいちゃんがプリウスで私の横を追い抜いていくし、アメリカンSUVに負けないくらい迫力あるHONDA PILOTの新型に乗るスーツ姿のビジネスマンはとても知的に見えた。

TOYOTA HIGHLANDERに至っては、新旧モデルが多く走っているのでエンブレムを見なければTOYOTAであることを認識しないほどすっかり景色に溶け込んでいる。

我々日本人の標準的サイズからすると白人系アメリカ人はヨコにもタテにも大きく、日本お得意のコンパクトカーでは明らかに窮屈そうなのであるが、西海岸のヒスパニックやラティーノに人気がありそうな旧々々型ぐらいのオンボロ錆だらけのHONDA CIVICも、シートからきっとはみ出していることが想像される立派なヒップのおばちゃんが元気よく走らせていた。

老夫婦はなぜNISSAN ALTIMAを選んだのか

今回のシカゴ出張では定宿が取れなかったので、同系列のホテルに陣を張った。そのホテルのあるエリア(Arlington Heights)には多くの日系企業が進出していることもあり、ホテルから徒歩圏内にミツワ(Mitsuwa Marketplace)という日本食品専門のスーパーがあるが、そこのパーキングは日本のスーパーの駐車場?と勘違いしてしまうほど日本車だらけの景色であった。

もちろんこのスーパーでの日本人比率はとても高く、おそらく現地駐在の多くの日本人が買い物に来ているのだろう。しかし、このエリア自体が日本びいきなのだろうか、ここに来る現地の白人系アメリカ人たちも日本車に乗り、国内流通価格の2倍はしているであろう日本の食料品を大量に買い込んでいる姿を目にした。

そこで、たまたま米国NISSANのALTIMAに乗って買い物に来ていた老夫婦に声をかけ、自己紹介をしつつ「なぜALTIMAを選んだのか」を聞いてみたところ、即答してきたのは「価格の安さと品質の高さ」だった。

そのご主人いわく「安いだけならHYUNDAIを買えばいい。でもこのしっかりとした内装と走りの感覚はNISSANじゃないとダメなんだ!」と、嬉しそうに私の肩をポンポン叩きながら笑顔で答えてくれた。

トヨタ車に新たな発見

また、出張先の本社オフィスからほど近い高級住宅街に隣接するショッピングモール(The Glen Town Center)は、ほかのエリアではほとんど見かけることのないヨーロッパの高級車の比率が圧倒的に高く、当たり前のようにポルシェやフェラーリが往来するエリア。しかし、それらに負けないくらいの存在感を感じさせるピカピカのLEXUSも多く見かけられた。

どのLEXUSもメッキのホイールが眩しいくらいに輝き、ボディの艶も眩いばかり。洗車&磨き上げオタクの私からしてもやることがないくらいピカピカ。でも間違いなく彼らは自分で洗車するようなことはしないのだろうが…。

グレンタウン地区にて

ところで、今回の出張で新たな発見があった。日本で見慣れているデザインよりも素晴らしく格好よく見えたのが、TOYOTA COROLLA。よく見ると日本のカローラよりも明らかにスポーティな外装なのだが、北米でもこのデザインが受けているようでかなりの台数を見ることができた。

トヨタさんには申し訳ないのだが、正直これまで「カローラ」に対しては何の興味も湧かなかったのであるが、北米で出会った「COROLLA」は、停まっている佇まいも、フリーウェイを疾走する後ろ姿も、なんだかとってもカッチョよかったのである。

鈴木 琢也