4. 繰下げ受給のデメリット2.「在職老齢年金制度」で支給停止された年金額は増額の対象外
ちなみに「年金額が高い・老後も勤め先からの収入が多い」という場合、さらに気を付けたい点があります。
「在職老齢年金制度」といい、年金の基本月額と勤め先からの収入(総報酬月額相当額)の合計が47万円を超える場合は注意が必要です。
- 70歳未満の人が会社で厚生年金保険に加入した場合
- 70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所で働いた場合
上記のようなケースでは、受給している公的年金と給与・賞与を合わせた額に応じて年金の一部または全額が支給停止となることがあります。
6. 繰下げ受給のデメリット2. 加給年金が受け取れない
加入年金とは、いわば年金の「扶養手当」にあたるようなもので、一定条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に上乗で支給されます。
繰下げ受給を行うと加給年金が受け取れないため、全体の受給額が本来受け取るより低くなる可能性もあるのです。
5. おわりにかえて
今回は、老後の年金がMAX84%増える「繰下げ受給」の制度のしくみの基本や、デメリット、注意しておくべき点などをご紹介しました。
繰下げ受給の申請を検討する場合、資産の状況や健康状態などを考慮して慎重に判断する必要があるでしょう。
とはいえ、長寿時代に老後を生きる私たちにとって、年金額を高水準で維持できる頼もしいしくみであることも確かです。
シニアの就業環境が整いつつあるいま、健康寿命と資産寿命も整えながら、繰下げ受給で年金を増やすのも選択肢の一つとなるかもしれません。
参考資料
岡崎 泰輔