1. JTの株価推移をチャートで確認。2022年11月初と12月末に急変

2022年10月以降のJTの株価推移を終値で見ていくと、10月31日(2464円)から11月1日(2698円)にかけて終値ベースで+9.5%高となり、12月28日(2843円)から12月29日(2676円)にかけて同-5.9%安となり、この二つのタイミングで大きく株価が変動しました。

JTの株価推移(期間:2022年10月3日~2023年2月3日)

出所:各種資料をもとにより筆者作成 

10月末については業績の上方修正と増配が行われたことが株価の押し上げ要因に、12月末は配当落ちによる株価の下落が現れたと考えられるでしょう。

2. 【JTの株価】決算における増配発表と業績の上方修正が急騰要因に

JTは10月31日に2022年度第三四半期決算(JTは12月決算の企業のため1-9月の期間。以下もJTの記載に合わせている)が発表され、その内容が10月31日から翌11月1日の株価の上昇要因となったと考えられます。

要点は大きく二点あり、一つは増配の方針でしょう。

JTは決算説明会において年間配当を38円増配し、188円とする見通しを示しました。これが配当目的で株を購入する投資家にとっては、ポジティブな内容となったと思われます。

出所:日本たばこ産業株式会社「2022年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」

もう一つは堅調な業績で、同決算説明会においては2022年度通期の業績見通しを上方修正し、当期利益の見通しを4450億円(前年比+31.5%)としました。

出所:日本たばこ産業株式会社「2022年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」

コロナ禍以降、尾を引くサプライチェーンのコスト上昇が重しとなったものの、たばこ販売が好調であることが増益の背景にはあります。

これらの材料が株価にとってはポジティブな内容だったため、11月1日の株価は終値ベースで前年比+9.5%高になったと考えられるでしょう。