1. 老後2000万円問題とは何だったのか

老後2000万円問題は、金融庁の審議会の報告書がきっかけで話題となりました。

老後を過ごすには、年金以外に2000万円が必要になるという試算でしたが、そこで使われたデータは、2017年時点の高齢者夫婦・無職世帯の月平均収支だったのです。

1.1. 2000万円の根拠

出所:金融審議会「市場ワーキング・グループ」の資料をもとにLIMO編集部作成

  • 実収入(主に年金):20万9198円
  • 実費(主に食費):26万3718円
  • 毎月の赤字額:約5万5000円

老後に必要な金額=5万5000円×12ヶ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円

こちらの試算により、年金以外に老後資金として2000万円は必要だという報告になったのです。

1.2. 2000万円の問題点

ただし、こちらには以下の問題点もあります。

  • 介護費用は含まれていない
  • 住居費用については、1万3656円で計算している
  • 収入と支出は人それぞれである

あくまで平均的な収入と支出を根拠にしています。さらに2017年の数字なので、時代によって水準も異なるでしょう。

また、現在は多くの高齢者がマイホームを所有していますが、将来的には賃貸する人が増えるという予想もあります。

この場合、追加の家賃を費用に含める必要があります。

寿命が延びるとともに、長生きのリスクも見過ごせません。介護・医療費は将来的に上昇すると考えておいた方がよいでしょう。

今の現役世代が老後を迎える頃には、2000万円では足りなくなる可能性が十分にあるのです。