第3回目となった2023年1月の大学入学共通テストの倫理の問題では、「親ガチャ」を彷彿とさせる問題が出題され波紋を呼びました。
「生まれた環境で教育機会や体験機会に差が出る」とするインターネット上から生まれた俗語ですが、家庭環境と子どもの貧困問題には根深いものがあります。
2023年4月には「こども家庭庁」が発足します。
少子化や核家族化が進む中で、子育てしやすい環境を整備していくことは少子化問題解決の鍵を握っています。
子育てをしていく上で一番気になるのが、教育やそれに伴い発生する費用の捻出ではないでしょうか。
今回は、ひとり親世帯と子どもの進路について考えていきます。
ひとり親世帯の子どもの進路
ひとり親世帯では子どもの教育費捻出が難しく、結果として進路選択に大きな影響を及ぼしていると言われています。
厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、ひとり親になる年齢で最も多いのが女性が30歳から39歳、次いで20歳から29歳です。
男性は40歳から49歳、30歳から39歳となっています。
離婚時の末子の平均年齢は母子家庭で4.6歳、父子家庭で7.2歳という結果になりました。
これから教育費が本格的に増える頃に、ひとり親世帯となる家庭が多いことが分かります。
同調査から、ひとり親世帯では中学卒業後や高校卒業後の就職率、進路率が以下の通りとなりました。
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出所:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」
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出所:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」
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出所:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」
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出所:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」
母子家庭
- 中学卒業後の就職率 0.6%
- 中学卒業後の進学率 94.5%
- 高校卒業後の就職率 22.2%
- 高校卒業後の大学進学率 41.4%
父子家庭
- 中学卒業後の就職率 2.9%
- 中学卒業後の進学率 96.2%
- 高校卒業後の就職率 36.1%
- 高校卒業後の大学進学率 28.5%
文部科学省が毎年調査している「令和4年度学校基本調査」と比較してみましょう。
- 中学卒業後の就職率 0.1%
- 中学卒業後の進学率 99.1%
- 高校卒業後の就職率 14.7%
- 高校卒業後の大学進学率 56.6%
ひとり親世帯では、総じて中学卒業後や高校卒業後の就職率が高いです。
しかし、母子家庭と父子家庭でも割合は異なり、とくに大学進学率は母子家庭が高いという傾向が出ています。
母子家庭の正規雇用率は就業者の半数を割り込む
母子家庭と父子家庭は、ともに親の就業率が85%以上を超えていますが、雇用体系には違いが見られます。
母子家庭での正規雇用は48.8%、パート・アルバイトが38.8%です。
しかし、父子家庭では正規雇用が69.9%、パート・アルバイトは4.9%と7割近くが正規雇用という結果になりました。
正規雇用の場合、有給休暇やボーナス支給などがあります。
しかし、非正規雇用だと仕事を休めば給料は発生しませんし、賞与やボーナスも期待できません。
子どもが具合を悪くして仕事を休んでもお金は発生せず、そして自分が体調を崩せば稼げなくなる。
雇用体系が不安定だと、家庭の経済状況を安定させることは難しいです。
ひとり親世帯の年間年収の平均額に男女間で差が生じているのも、こうした雇用体系が影響しています。
母子家庭での平均世帯年収は373万円、母親自身の年収は272万円である一方で、父子家庭の世帯年収の平均額は606万円、父親自身の年収は518万円です。
世帯年収では233万円、親自身の年収は246万円の差があります。
ひとり親世帯の年収は学歴で異なる
年収を最終学歴でみてみると、世帯年収は以下のような結果となりました。
母親の最終学歴
- 中卒 272万円
- 高卒 335万円
- 高等専門学校卒 382万円
- 短大卒 380万円
- 大学・大学院卒 531万円
- 専修学校・各種学校 386万円
父親の最終学歴
- 中卒 518万円
- 高卒 533万円
- 高等専門学校卒 636万円
- 短大卒 570万円
- 大学・大学院卒 739万円
- 専修学校・各種学校 617万円
両世帯ともに最終学歴が大卒・大学院卒が一番年収が高く、母子家庭世帯では学歴による差は約260万円もあります。
厳しい経済事情の中でも、母子家庭世帯の子どもの大学進学率が父子家庭よりも高いのは、「大卒の正規雇用で就職して安定した生活を送って欲しい」という願いが強いと考えられます。
「ひとり親」公的なサポート充実を期待したい
ひと昔前に比べ、ひとり親世帯への公的なサポートが充実してきました。
本当は進学をしたい子ども達が、家庭の経済状況を踏まえて不本意ながら自分から進学を断念することがないよう、子どもにも公的な支援などの存在を教えることも必要です。
こども家庭庁発足にあたり、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針を発表しました。
その中の一つに「子どもや家庭が抱えるさまざまな複合する課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ⽬ない包括的な⽀援」が掲げられています。
子どもは成長するに従い、家庭の問題を友だちに打ち明けても理解を得られないと殻に閉じこもることもあります。
こども家庭庁が発足し、孤立しやすいひとり親世帯や子ども達の居場所づくり、相談しやすい体制が構築されることが期待されています。
参考資料
- 文部科学省「令和4年度学校基本調査(確定値)について公表します 」2022年12月21日
- 厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在)」2022年12月26日
- 厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要 」2022年12月26日
- 厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果 ひとり親世帯の年間収入」
- 内閣府「こども家庭庁こども政策の新たな推進体制に関する基本⽅針のポイント」
中山 まち子
