3. 三井住友FGの株価の上昇要因3.日銀によるイールドカーブ・コントロールの変動許容幅拡大

銀行の業績は金利の水準の影響を強く受けます。

金利が上昇すれば、貸出金利の上昇を通じて、融資からの収益性が向上するため、銀行の業績にはプラスに働きます。そのため、金利上昇は銀行株の上昇要因となることがあるのです。

2022年12月19日~20日に実施された日銀政策決定会合では、これまで日銀が長期金利を抑える目的で実施してきた「イールドカーブ・コントロール」という金融緩和政策について、10年国債金利の変動許容幅を従来の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大するとの方針を発表しました。

文面をそのままとらえると、上下どちらにも変動しやすくなったことを意味するのですが、2022年はグローバルに金利上昇が進んでいたことから、日本国債も金利への上昇圧力がかかりやすい状況でした。

その中でこの方針が打ち出されたため、実質的に金利上昇を許容したものと受け止められました。そのため、日銀の金融政策の方針転換が発表された直後には、日本の10年国債金利は急上昇しました。

日本10年国債金利の推移(2022年11月30日~2023年1月13日)

出所:各種資料をもとに筆者作成

同政策が発表された2022年12月20日の三井住友フィナンシャルグループの株価は+1%程度の上昇にとどまりましたが、日本の株式市場全体は日銀の方針転換を嫌気して大幅に下落したため、相対的にみると優れた騰落率と言えるでしょう。さらに翌2022年12月21日には+8.8%の大幅高となりました(いずれも終値)。