住宅ローン控除をムダなく活用するための繰上げ返済の注意点
そうはいっても住宅ローン控除を利用できる分は、最大限恩恵を受けたいものです。そこで、注意したいのが繰上げ返済との兼ね合いです。
繰上げ返済とは、毎月の返済とは別にまとまった返済を臨時ですることです。繰上げ返済で支払ったお金は元本に充当されるため、利息を減らす効果があります。
繰上げ返済によってローンの総支払額を減らせますが、住宅ローン控除が利用できる人は繰上げ返済をしないほうがよい場合があります。
繰上げ返済より住宅ローン控除を優先すべきケース
ローンの金利が控除率より低い場合、「(控除率-ローン金利)×ローン残高」相当額が納税者にとっての利益になる「逆ざや」になります。
たとえば、ローン残高2000万円で控除率が1.0%の人が20万円の控除を受けられるとします。
ローンの金利が0.6%であれば、1年間の金利負担は12万円です(計算を簡略化しています)。金利負担12万円に対し、税の還付が20万円あれば、8万円の利益となるわけです。
つまり、人によっては繰上げ返済をして残高を減らすと、住宅ローン控除できる金額も減って損をしてしまいます。
余裕資金は将来のために貯めておき、住宅ローン控除期間が終わってからまとめて繰上げ返済をするとよいでしょう。
反対に、住宅ローン金利が控除率より高い場合は、繰上げ返済をして利息を減らすといいでしょう。
住宅ローン控除を効果的に活用しよう
住宅ローン控除は、ローンを利用して住宅を取得する人がぜひとも活用したい税の軽減制度です。
しかし、仕組みをよく理解しないで住宅ローンを組んでしまうと、想定より控除額が少なくなりかねません。
まずは無理のないローンの返済計画を立て、その上で住宅ローン控除を活用するようにしましょう。
参考資料
- 東京都「住宅着工統計」
- 国税庁「一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
- 総務省「新たな個人住民税における住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」
- 国土交通省「住宅ローン減税制度について」
松田 聡子