東京都の「令和4年11月の新設住宅着工」によれば、都内における11月の新設住宅着工戸数は1万1823戸でした。

前年同月比で持家は減少しましたが、分譲住宅・貸家はともに増加し、全体で23.9%増となっています。

住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、住宅ローン控除について気になる方も多いのではないでしょうか。

住宅ローン控除は税額から直接差し引かれる「税額控除」であり、税負担を軽減する大きな効果がある制度です。

しかし、控除されるのは実際に負担した税額が上限であり、ローン残高をもとにした控除額に満たない場合もあります。

今回は住宅ローンの仕組みと注意点、有効活用などについて解説します。

住宅ローン控除の基本的な仕組みをおさらい

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人の所得税と住民税が軽減される制度です(適用を受けるには一定の要件を満たす必要があります)。

各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税額から最長13年間控除し、引ききれない場合は翌年の住民税から控除します。

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出所:国土交通省「住宅ローン減税制度について」

出所:国土交通省「住宅ローン減税制度について」

なお、2021年12月31日までに入居した場合の条件は以下のようになります。

  • 控除率:1.0%
  • 控除期間:最長10年

住民税には以下のような控除の上限があります。

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出所:総務省「新たな個人住民税における住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」より筆者作成

出所:総務省「新たな個人住民税における住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」より筆者作成

控除には、税額計算のもとになる所得から控除額を差し引く「所得控除」と、税額から控除額を差し引く「税額控除」があります。

住宅ローン控除は税額から直接差し引ける「税額控除」であり、所得控除に比べて税の軽減効果が高い仕組みです。

年末残高2000万円の場合の住宅ローン控除をシミュレーション

住宅ローン控除の計算の流れを年末残高2000万円の例で見てみましょう。前提条件は次のとおりとします。

  • 入居年:2020年
  • 2022年分の所得税:10万円
  • 2022年の年末残高:2000万円

入居年2020年の人の住宅ローン控除の控除率は1.0%です。

2022年の所得税の住宅ローン控除額は20万円(2000万円×1.0%)で、所得税10万円は全額控除となります。

次に、所得税で控除しきれなかった10万円を、住民税から控除します。住民税の控除額の上限が10万円以上であれば全額の控除ができますが、そうでなければ総額20万円の控除は受けられません。

住宅ローン控除の所得税分は、その年の年末調整や確定申告によって、還付を受けます。

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出所:総務省「新たな個人住民税における住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」

出所:総務省「新たな個人住民税における住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)」

住民税からの控除がある場合は、翌年分の住民税額から差し引かれる仕組みです。

住宅ローン控除の注意点2つ

住宅ローン控除の注意点をまとめましょう。

住宅ローン控除の注意点1.戻るのは「支払った税額」が上限

これまでの内容を踏まえると、住宅ローンで戻ってくるのは支払った税額が上限であることがわかります。

年末のローン残高から控除できる金額がいくらであっても、実際に支払った税額を超えてお金が戻ってくるわけではない点に注意が必要です。

たとえば、「控除率1%、年末のローン残高が3000万円」だとすると最大30万円の控除が受けられるため、とても魅力的に感じるでしょう。

しかし、必ず30万円が戻ってくるわけではなく、20万円しか税金を払っていない人であれば、最大で20万円しか戻りません。

住宅ローン控除の注意点2.所得が高い人ほどメリットも大きい

これまで見てきたように、住宅ローン控除は所得の低い人にはあまりメリットはなく、所得の高い人ほど受ける恩恵の大きな制度というわけです。

この点を理解せずに、控除が受けられるからと高額な物件の取得に住宅ローンを組むと、返済が困難になるおそれがあります。

住宅を取得する場合、無理なくローンを返済できる借入金額を考え、自己資金と借入金額から取得できる物件の金額を決めましょう。

無理なく返済できることが最優先で、住宅ローン控除は副次的なメリットと考えます。

住宅ローン控除をムダなく活用するための繰上げ返済の注意点

そうはいっても住宅ローン控除を利用できる分は、最大限恩恵を受けたいものです。そこで、注意したいのが繰上げ返済との兼ね合いです。

繰上げ返済とは、毎月の返済とは別にまとまった返済を臨時ですることです。繰上げ返済で支払ったお金は元本に充当されるため、利息を減らす効果があります。

繰上げ返済によってローンの総支払額を減らせますが、住宅ローン控除が利用できる人は繰上げ返済をしないほうがよい場合があります。

繰上げ返済より住宅ローン控除を優先すべきケース

ローンの金利が控除率より低い場合、「(控除率-ローン金利)×ローン残高」相当額が納税者にとっての利益になる「逆ざや」になります。

たとえば、ローン残高2000万円で控除率が1.0%の人が20万円の控除を受けられるとします。

ローンの金利が0.6%であれば、1年間の金利負担は12万円です(計算を簡略化しています)。金利負担12万円に対し、税の還付が20万円あれば、8万円の利益となるわけです。

つまり、人によっては繰上げ返済をして残高を減らすと、住宅ローン控除できる金額も減って損をしてしまいます。

余裕資金は将来のために貯めておき、住宅ローン控除期間が終わってからまとめて繰上げ返済をするとよいでしょう。

反対に、住宅ローン金利が控除率より高い場合は、繰上げ返済をして利息を減らすといいでしょう。

住宅ローン控除を効果的に活用しよう

住宅ローン控除は、ローンを利用して住宅を取得する人がぜひとも活用したい税の軽減制度です。

しかし、仕組みをよく理解しないで住宅ローンを組んでしまうと、想定より控除額が少なくなりかねません。

まずは無理のないローンの返済計画を立て、その上で住宅ローン控除を活用するようにしましょう。

参考資料

松田 聡子