1. 50歳代の貯蓄事情はどうなっている?

では、50歳代の貯蓄事情についてみていきましょう。

金融庁広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[2人以上世帯](令和3年調査結果)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は以下のようになっています。

出所:金融庁広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[2人以上世帯](令和3年)調査結果」をもとにLIMO編集部作成

50歳代世帯「金融資産保有額」

※金融資産を保有していない世帯を含む

  • 平均:1386万円
  • 中央値:400万円

金融資産保有額の分布

  • 金融資産非保有:23.2%
  • 100万円未満:8.9%
  • 100~200万円未満:6.5%
  • 200~300万円未満:4.5%
  • 300~400万円未満:4.0%
  • 400~500万円未満:3.4%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.3%
  • 1000~1500万円未満:8.0%
  • 1500~2000万円未満:5.7%
  • 2000~3000万円未満:6.6%
  • 3000万円以上:12.9%
  • 未回答:3.5%

平均を見ると、50歳代・二人以上世帯の貯蓄平均額は、約1400万円。ただし、「平均」は一部の大きい値に引っ張られ、しばしば実態とはかけ離れた値となる傾向があります。

例えば、年収2000万円、500万円、200万円の社員が1人ずついた場合、「平均年収」は900万円になります。

これでは、実態を捉えているとは言いにくいですね。「中央値」は、データを小さい順に並べた時に、ちょうど真ん中に来る値を示したものです。よって、「平均値」ではなく、「中央値」でみた方が、より実態に近いといえます。

平均では約1400万円だったところ、中央値でみた途端に400万円にまで下がっていますね。

更に、最も多い割合を占めているのは「金融資産非保有」。貯蓄ゼロ世帯が実に全体の約4分の1を占めていることになります。

4世帯に1世帯が金融資産を保有していない一方、2000万円以上の金融資産を保有している世帯も約20%を占めます。
中央値が400万円であることを考えると、迫りくる老後の生活に対して、漠然とした不安を覚えている世帯は少なくないでしょう。

老後といえば「年金」も気になるトピックですね。次は50歳代がぜひ気にしておきたい「ねんきん定期便」のお話です。