老後資金はどのくらい必要なのか、不安を感じている方もいるでしょう。特に、昨今の継続的な物価上昇により生活費が圧迫されている世帯にとっては切実な問題です。

老後資金には、年金(国民年金や厚生年金)のほかに現役時代に準備しておいた貯蓄を切り崩すという方法があります。しかし、60歳代の貯蓄ゼロ世帯にとっては、切り崩す貯蓄がないのが現状です。

この記事では、60歳代で貯蓄ゼロ世帯はどのくらいの割合いるのか、また、老後資金のメインとなる年金は平均いくら受給できるのかなどについて解説するとともに、60歳代からでもできる老後資金を増やす方法を紹介します。

【注目記事】つみたてNISA「やっぱり買うべきじゃなかった」後悔されがちなインデックス投資信託4選とは

1. 60歳代「貯蓄ゼロ世帯」の割合とは

60歳代になると、仕事を退職し年金生活を送る方が多くなりますが、気になることのひとつに貯蓄残高があります。

世帯により貯蓄残高はさまざまですが、60歳代で貯蓄ゼロ世帯はどのくらいいるのでしょうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」を元に、二人以上世帯と単身世帯のそれぞれの状況を解説します。

1.1 60歳代・二人以上世帯の約2割は貯蓄ゼロ

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

60歳代の二人以上世帯のうち、貯蓄ゼロ世帯は19%と約2割を占めています。この調査における「貯蓄」には、銀行等への預貯金のほか株式や債券、個人年金保険などが含まれています。

なお、60歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は2427万円です。貯蓄ゼロ世帯が2割を占めている一方で、高額な貯蓄額のある世帯も多いことがわかります。

1.2 60歳代・単身世帯では約3割が貯蓄ゼロ

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

60歳代の単身世帯では、28.8%が貯蓄ゼロ世帯となっており約3割を占めています。

しかし、平均貯蓄額は1860万円という結果であるため、二人以上世帯と同様に、貯蓄のある世帯も多く存在していることがわかります。