株式市場では業種別(セクター別)株価指数動向を見ていくと、株式市場動向をさらに深く理解することができる。ここでは東証33業種に関して1週間(2017年6月30日から7月6日)の株価動向を振り返る。

業種別振り返り-リターン・リバーサルの動きが継続した1週間

今週は、鉄鋼株、輸送用機器株、その他金融業株など15業種が上昇。証券・商品先物取引業のみ変わらず。

先週上昇した新日鐵住金(5401)や、ジェイエフイーホールディングス(5411)などの鉄鋼株は続伸。日本政府と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)交渉で焦点だったEUによる日本車への関税(最高10%)を、協定発効後7年で撤廃する方針を固めたとの一部報道を受け、トヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)などの輸送用機器株も値を上げた。

また、過払い金の沈静化により繰延税金資産の計上や復配の期待が高まっていることを背景に、アコム(8572)、アイフル(8515)などのその他金融株も上昇した。

一方、その他製品株、パルプ・紙株、小売業株など17業種が下落。

今週も、直近まで買われていた業種(セクター)に売りが目立った。据置型ゲーム機「Nintendo Switch」の出荷量を増加すると報じられ、年初来高値を更新していた任天堂(7974)は利益確定と思われる売りに押された。

また、今春以降、業界再編期待の高まりを受け、値を上げていたパルプ・紙株にも売りが目立ち、王子ホールディングス(3861)、大王製紙(3880)なども軟調だった。

今後のマーケット見通しの注目点

今週も、直近まで買われていた業種(セクター)に利益確定と思われる動きが見られた相場展開であった。今週末から来週以降は、上場投資信託(ETF)の決算日が集中することに伴う分配金捻出のための売りにより、短期的な需給悪化が懸念されよう。

また、海外では7日から8日までドイツで開催されるG20首脳会議等の重要イベントを控えていることもあり、今週は様子見姿勢の強い相場展開と考える。

出所:SPEEDAおよび東証で取得したデータをもとに筆者作成

岡野 辰太郎