年金だけでは老後の生活資金としては不十分だと考えている人は多いでしょう。

NISA制度の改正など投資環境が整うにつれ、自助努力で資金を増やさなければならない風潮を感じているのではないでしょうか。

しかし、投資などをする前に、年金制度の状況を把握しておくことは大切です。老齢厚生年金は年収によって受取額が変わりますが、目安であれば平均年収から年金額を算出できます。

今回は、単身世帯なら月20万円以上、夫婦二人世帯なら月28万円以上を受け取るための平均年収額を紹介します。

【注目記事】厚生年金だけで【月平均25万円以上の年金収入】の羨ましい人は日本に何パーセントいるか

1. 【厚生年金】最新の受給額と月20万円以上受け取っている人の割合

厚生労働省「2021年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2022年12月公表)によると、平均年金月額は14万3965円となっており、男女別では男性は約16万円、女性は約10万円となっています。

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出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

月20万円以上の年金を受け取っている人の割合は、男性22.5%、女性1.23%です。

厚生年金でみると、単純計算で世帯年収は約26万7000円(男性平均と女性平均の合算)となりますが、十分な収入かどうかは家庭ごとの支出額により異なり、不足していれば貯蓄から取り崩さなければならない場合もあるでしょう。

ただ、20代や30代のような若い世代にとっては先のことだと考えている人も多いと思いますので、「年金で月20万円受け取るためには、現在どのくらいの収入が必要か」という観点でシミュレーションしていきます。

まずは簡単に公的年金制度について解説します。

2. 公的年金制度(国民年金と厚生年金)の概要

公的年金は、一般的に老齢基礎年金と老齢厚生年金で構成されています。

会社員や公務員として働く場合は、給料から厚生年金保険料が差し引かれ、要件を満たせば、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れます。

2.1 老齢基礎年金

老齢基礎年金は、40年間(原則20歳から60歳まで)保険料を支払うと満額を受け取れ、2022年度の満額は77万7800円です。

計算式:77万7800円×加入月数/480月

今回のシミュレーションでは、厚生労働省「2021年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」の平均年金月額をもとに、70万円として計算します。

2.2 老齢厚生年金

老齢厚生年金は、納付した厚生年金保険料によって受給額が変わります。厚生年金保険料は収入に応じて決まるため、高収入であるほど保険料の額は増えますが、受け取れる年金額も増えます(上限があります)。

計算式:
 平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数(2004年以降)
 ※2003年3月以前の保険料部分については「平均標準報酬月額×7.125/1000×加入月数」
 ※従前額保証:
  2003年4月以降 平均標準報酬額×5.769/1000×加入月数
  2003年3月以前 平均標準報酬月額×7.5/1000×加入月数

なお老齢厚生年金は、報酬比例年金額や経過的加算、加給年金額で構成されますが、大部分は報酬比例年金額であるため、報酬比例年金額のみでシミュレーションします。また、物価スライド率なども考慮していないため、シミュレーション結果は目安となります。

3. 厚生年金で月20万円受け取るために必要な年収とは

おもに2004年以降に厚生年金保険に加入した年代が、年金で月20万円受け取るためには、どのくらいの年収が必要かシミュレーションしました(※平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数(2004年以降)で試算)。

3.1 一人で受け取る厚生年金の年金額

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出所:日本年金機構「令和4年度版 老齢年金ガイド」をもとに筆者作成

一人が受け取る年金額を考えると、年金で月20万円以上受け取るためには、目安として平均年収840万円で40年間保険料を納めることになると言えるでしょう。

3.2 会社員と専業主夫(婦)で受け取る厚生年金の年金額

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出所:日本年金機構「令和4年度版 老齢年金ガイド」をもとに筆者作成

出所:日本年金機構「令和4年度版 老齢年金ガイド」をもとに筆者作成

会社員と専業主夫(婦)の世帯の場合、専業主夫(婦)は老齢基礎年金70万円を加算して算出しています。

会社員の平均年収が480万円以上で40年間加入すれば、年金月額20万円以上(年額245万円)を受け取れる計算です。

ただし、二人世帯となると20万円では少ないため、28万円(年額336万円)を基準とした場合、上記の表にはありません。

3.3 共働き世帯(同額の年収)で受け取る厚生年金の年金額

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出所:日本年金機構「令和4年度版 老齢年金ガイド」をもとに筆者作成

出所:日本年金機構「令和4年度版 老齢年金ガイド」をもとに筆者作成

共働き世帯として、ここでは二人とも同じ年収としてシミュレーションしています。黄色い部分の条件で、年金月額28万円以上受け取れる計算です。

4. 【年金】単身世帯月20万円、二人世帯月28万円を受け取るのは難しい

最新の受給額とシミュレーション結果を紹介しましたが、単身世帯で月20万円、二人世帯で月28万円を受け取るのは難しいとわかります。

重要なことは、現在の年収でどの程度の年金額となるかについておおまかにでも理解しておくことです。

ねんきん定期便やねんきんネットで確認してみてはいかがでしょうか。

参考資料

藤 孝憲