2027年の防衛費増額に向け「法人税、所得税、たばこ税」などが増税へ

2023年~2027年までの5年間で防衛関連経費の総額が43兆円になります。

出所:財務省「令和5年度予算のポイント」

これは日本の防衛力を安定して維持するためのものです。

2019年~2023年までの5年間分の防衛費、総額27兆5000億円と比べると、1.6倍にも膨れ上がっています。

防衛費などの総額43兆円には、人件費や自衛隊員の食糧費も含まれています。

5年間のうち、最終年度の2027年度だけの防衛費は8兆9000億円になると見込まれており、昨年2022年度の防衛費予算の5兆4000億円と比べても1.6倍に膨らんでいます。

日本の防衛費の枠組みは、1976年当時、三木武夫内閣で「GDPの1%」という閣議決定を行い、その後はその水準を維持してきました。

今回の大幅増額により、2027年の防衛費である8兆9000億円が国内総生産(GDP)と比べ2%を超えると、日本は世界1位のアメリカ、2位の中国に続き、3位の軍事大国となります。

2027年に必要な防衛費、年間約4兆円の増加分を補うための財源として、歳出の見直し、税収での余剰分、国の財産を売却して得た利益などで3兆円を確保するよう検討されています。

それでもまだ1兆円が不足するため、法人税、所得税、たばこ税などの増税を段階的に行います。

10年間で約150兆円超となるグリーントランスフォーメーション(GX)投資

出所:財務省「令和5年度予算のポイント」

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、経済産業省が提唱する脱炭素社会に向けた取り組みを指します。

脱炭素化というのは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す社会をいい、石油や石炭などの化石燃料ではなく、太陽光発電などのクリーンエネルギーを利用して、経済社会システムや産業構造の変革を目指すことです。

クリーンエネルギーの活用拡大への取り組みは、地球の環境を守ることと、安定した電力が確保される安心な社会をつくるためにも大事なことですが、莫大な投資が必要になります。

経済産業省の「成長志向型カーボンプライシング構想」によると、今後10年間に150兆円超もの官民あわせたGX投資を実現・実行する予定です。

GX投資の財源を確保するため、具体的な取り組みの1つとして、20兆円規模の「GX経済移行債」(仮称)という通常の国債と別建てとなる、新たな国債を発行する予定です。