4. 年収460万円は、意外と「高収入」
さきほど、14万円以上受け取るために必要となる年収の目安として「460万円」という金額を挙げました。では、いまの日本人の平均的な年収はどの程度なのでしょうか?
国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、男性では35歳以上で平均年収が460万円を超え、その後定年まで上昇傾向にあります。しかし、女性の場合には平均年収がほとんどの年代で年収320万円未満を推移しています。
一般的な日本企業の場合、年齢や勤続年数により収入が増える傾向は根強く残っていますから、40年間の平均年収が「460万円」となる人は、意外と高収入層かもしれません。
5. まとめにかえて
今回は、厚生年金の男女全体平均月額である「14万円」を受け取る条件について、現役時代にどの程度の年収があればよいかを試算してみました。
老後に受け取る厚生年金の年金額は、現役時代の収入と年金加入期間の影響を受けて大きな個人差が生じます。
各種統計の平均額だけを鵜呑みにせず、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」でご自身の受給見込み額を確認していきましょう。
老後に必要となる生活費は世帯ごとに異なります。もちろん、年金額や現役時代の稼ぎもひとそれぞれです。とはいえ、「公的年金だけ」で老後を乗り切れる世帯は決して多数派ではないでしょう。
まずは、預貯金をしっかり確保すること。さらに資産運用で「お金にも働いてもらう」しくみを作っておけるとよいですね。
「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」などの税制優遇制度の活用を検討してみるのも一案でしょう。
※本記事は2022年12月22日時点の最新公開データをもとに執筆されたものです。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・金額」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁 「令和2年分 民間給与実態統計調査」
徳原 龍裕