3.「遺産は残さない派」が約3割。70代以上のホンネとは

同調査では「遺産についての考え方」に関する質問があります。70歳代・二人以上世帯の回答結果を確認しましょう。

「残したい派」48.5%

  • 老後の世話をしてくれるならば、こどもに財産を残してやりたい・・・14.4%
  • 家業をついでくれるならば、こどもに財産を残してやりたい・・・0.8%
  • 老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐか等に関わらず、こどもに財産を残してやりたい・・・33.3%

「社会に役立てたい派」2.1%

  • 財産を当てにして働かなくなるといけないので、社会・公共の役に立つようにしたい・・・1.2%
  • 財産を残すこどもがいないので、社会・公共の役に立つようにしたい・・・0.9%

「財産を使い切りたい派」33.6%

  • 財産を残すこどもがいないうえ、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい・・・8.5%
  • こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい・・・25.1%

その他:15.9%

「遺産は残さない」と考える世帯が3割いる一方、70歳代のうち半数は「残したい」と考えていることが分かります。

親世代は遺産について、次世代に役立てて欲しいと多くの方が考えているようですね。

ただし、今は100年時代。長生きすることはとても良いことですが、親の相続が発生する80歳~100歳のころには、子世代自体もすでに高齢者。「老老相続」となるケースが多いです。

そうなると、お金が多く必要となる現役時代のタイミングでの資産移転は進まないでしょう。さらに、相続が発生してから遺産を受け取っても、子は親に感謝の気持ちを述べたくても、それが叶いませんね。

よって、相続を考える際には、生前に可能な資産移転についても併せて考えていく視点を持つのも良いでしょう。

国としても、教育、結婚・子育て、住宅取得に用いる資金について一定額までの金額の贈与を非課税にしています。さらに相続時精算課税制度や暦年贈与という仕組みもありますね。

これらの制度を活用し、お金の面からも世代間で支え合える仕組みづくりを家族で話し合うことを始めてみてはいかがでしょうか。