厚生労働省が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均月額は国民年金が5万7584円、厚生年金が14万6429円となっています。
ただし、一口に「年金」といっても、実際の受給額は現役時代の収入や加入期間等によって大きく異なります。中には月1万円未満の方もいれば、30万円以上受け取っている方もおり、その金額には大きな幅があります。
こうした中、年金とその他の収入を合わせても所得が一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」という制度を利用できる可能性があります。
この給付金は、老齢・障害・遺族いずれかの基礎年金を受給している方のうち、一定の条件を満たす方に対して、年金に上乗せして2か月に1回支給される仕組みです。
この記事では、「年金生活者支援給付金」の制度概要や受給条件について解説していきます。
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1. 年金生活者支援給付金は《老齢・障害・遺族》の3種類
年金生活者支援給付金は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があります。
それぞれの支給要件を見ていきます。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 「障害年金生活者支援給付金」支給要件
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
1.3 「遺族年金生活者支援給付金」支給要件
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
「老齢・障害・遺族」3種類の年金生活者支援給付金は、それぞれに定められた上記の要件をすべて満たした人が支給の対象となります。