合格めしに似た必勝祈願の儀式

お祝い事に出される食材である、あわびや栗は平安時代の宮廷での酒宴でも出されていました。

日本醸造協会誌「室町期における公家・武家衆の酒宴」(加藤百一氏)によると、朝廷の酒宴での儀礼「三献の儀」で出される肴として、打鰒(うちあわび)と搗栗(かちぐり)、海月(くらげ)が最初に出されていました。

元々縁起物の食材でしたが、勝負事と結び付けられて食されるようになったのは武士が台頭してきた平安末期頃からで、武士の酒宴や出陣に出されるようになっていきます。

時代が移り、室町時代になると武士の出陣式の三献の儀で出される品は打ちあわび、勝ち栗、昆布に定着していきました。

国の重要無形民俗文化財に指定されている福島県相馬市の「相馬野馬追い」の出陣式でも習慣が受け継がれており、当時の勝負めしを知ることができます。