3. 年金の繰下げ受給のデメリット

75歳で84%とは、「受給額」だけを見るとインパクトのある数字になっています。

ですが、実は年金の繰り下げ受給をしている人は非常に少ないというのが現状です。

厚生労働省の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際に繰下げ受給を選択した人はここ数年1%台しかいません。

その理由には以下の3点が挙げられると考えられます。

3.1 年金の繰下げ受給のデメリット1.年金受給開始までの収入を確保しなければいけない

受給開始が遅れると、当然その間の収入源を確保しなければいけません。

貯蓄を切り崩すことになれば、精神的にも不安な日々を過ごすことになるかと思います。

年金受給開始を遅らせることを選択したものの、貯蓄を切り崩すことになっては本末転倒です。

働く期間を伸ばすなど、他に収入源を作っておく必要があるでしょう。

3.2 年金の繰下げ受給のデメリット2.年金額が増えると税金や社会保険料も上がる

受給した年金にも所得税や住民税、健康保険料、介護保険料がかかります。

受給額が増えることで、逆に税負担が増えてしまうことになりかねません。

単純に目先の受給額にとらわれず、税負担についてもあらかじめきちんと確認しておきましょう。

3.3 年金の繰下げ受給のデメリット3.加給年金が受け取れないことも

繰り下げ受給を選択することで、ご家庭によっては加給年金が受給できなくなることもあります。

加給年金は、年金の扶養手当にあたるもので、条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に上乗せされる年金のことを指します。

特に家族がいる方にとっては十分に注意が必要です。