住民税非課税世帯に関する疑問をQ&Aで回答
では、住民税非課税に対する疑問をQ&A形式で見ていきましょう。
Q1:住民税非課税世帯の年収の基準を超えていても、生命保険料控除や医療費控除などの所得控除によって、住民税非課税世帯になることはありますか?
A1:住民税非課税世帯は、住民税の「所得割」と「均等割」ともに非課税である必要があります。所得控除によって、非課税限度額を下回った場合に非課税となるのは「所得割」だけです。
そのため、住民税非課税世帯の年収の基準を超えていて、所得控除によって住民税非課税世帯になることはありません。
「均等割」は所得に関係なく、一律の金額を納めるものです。ただし、生活に余裕のない人に配慮して、非課税となる一定基準を設けています。
この基準に前年の所得金額が用いられますが、所得控除を引く前の合計所得金額が基準となるため、各種所得控除は「均等割」には影響しません。
Q2:住民税非課税世帯には、どんな優遇措置がありますか?
A2:保険料の減免や医療費の軽減、教育費の補助など、さまざまな優遇措置があります。主な優遇措置をリストアップしてみます。
- 国民健康保険料の減免
- 国民年金保険料の全額免除(申請による)
- 高額療養費の自己負担限度額が低い
- 0歳から2歳児の保育料が無料
- 大学の授業料等減免
- 給付型奨学金が受けられる
この他にも、自治体独自の支援や国からの特別給付金が受けられる場合があります。
Q3:今年から大幅に収入が減りました。住民税は非課税になりますか?
A3:住民税は前年の所得をもとに計算するので、今年の所得が非課税限度額以下になれば、翌年の住民税は非課税になります。
ただし、それを市区町村が把握している必要があるので、次のケース以外は住民税の申告が必要になります。
申告が必要ないケース
- 確定申告をしている
- 給与収入のみで勤務先で年末調整をしている
- 公的年金以外の収入がない
給与や年金以外に所得がある人、複数の勤務先で働いている人、年の途中で退職して再就職していない人などで、確定申告をしていない人は住民税の申告をする必要があります。
ただし、所得がゼロで税の減免制度などを利用しない人は申告をしなくても構いません。
住民税の申告は、住所地のある市区町村で行います。申告には所得の証明書類、各控除書類、本人確認書類が必要です。
参考資料
- 内閣府「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金について」
- 東京都主税局「個人住民税」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- 内閣府「幼児教育・保育の無償化概要」
- 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
石倉 博子