60歳代の方の中には、退職金の運用で「株式投資」を考える方もいるのではないでしょうか。

「国民年金や厚生年金だけでは生活できない」といわれる今、株式を保有すると企業によっては得られる「配当金」が手に入れば、生活費の足しにもなる場合もあるでしょう。

今回は数多くある企業の中でも、高配当株といわれる「商船三井(9104)」の株式を1年前に買った人は、年金不足をどれくらい補えたのかを試算していきます。

1. 「商船三井」1年間のトータル・リターンはいくらか【配当金・株価】

まずは1年前に「商船三井」の株式を買った場合の、トータル・リターンを試算しましょう。

まずは配当金リターンを計算します。

商船三井の株式を1年前に買って持ち続けると「2022年3月期の期末配当と2023年3月中間配当」の計2回を受け取ることができます。

なお、今回は配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

1.1 商船三井の株式の配当金リターン

  • 株式の取得日:2021年12月6日
  • 株式の取得価格:2583円(取得日の終値)
  • 2022年3月期・期末配当:900円
  • 2023年3月期・中間配当:300円
  • 100株ベースの配当金のリターン:12万円

商船三井の株式を保有し続けることで得られた配当金リターンは12万円でした。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2021年12月6日
  • 株式の取得価格:2583円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2022年12月6日
  • 1年後の株価の終値:3270円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:+6万8700円

最後にトータル・リターンを計算しましょう。

  • 配当金のリターン:12万円
  • 株価変動によるリターン:+6万8700円
  • トータル・リターン(金額ベース):+18万8700円
  • トータル・リターン(%ベース):+73.1%

※優待のリターンは含みません。

トータル・リターンは金額ベースで+18万8700円でした。

2. 【年金生活】国民年金と厚生年金の年間収入はいくらか

では、今の年金受給者は年間でどれくらいの年金収入を得ているのでしょうか。

厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」より、高齢者世帯の1世帯あたりの平均所得金額と内訳を確認します。

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出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

2.1 高齢者世帯の1世帯あたりの平均所得金額と内訳

  • 総所得:332万9000円
  • 稼働所得:71万7000円(うち、雇用者所得58万7000円)
  • 公的年金・恩給:207万4000円
  • 財産所得※:22万9000円
  • 年金以外の社会保障給付金:2万1000円
  • 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得:28万8000円

※財産所得:世帯員の所有する土地・家屋を貸すことによって生じた収入(現物給付を含む)から、必要経費を差し引いた金額、また預貯金、公社債、株式などによって生じた利子・配当金から必要経費を差し引いた金額(源泉分離課税分を含む)のこと。

高齢者の総所得は平均で332万9000円でした。

そのうち「公的年金・恩給(207万4000円)」となっており、公的年金だけでは年間約125万円不足することになります。

内訳のうち、財産所得は22万9000円です。

財産所得は「株式などによって生じた利子・配当金から必要経費を差し引いた金額(源泉分離課税分を含む)」となっていますが、商船三井の株式を保有していれば、通常は利益分に対して約2割が課税されるものの、このうち半分近くを配当金でまかなえたことになりますね。

1年間保有して売却すれば、公的年金では不足する所得のうちの約1割をまかなえたことになります。

上記を見ると公的年金の次に「稼働所得」が多くなっていますが、長く働くことは大切な一方で、いつまで元気に働けるかは誰にもわかりません。

そういった場合に備える方法の一つとして株式投資があるでしょう。

3. 株式投資にはリスクもある。総合的な判断を

今回は商船三井のトータル・リターンと、高齢者の平均所得額をみてきました。

この1年では利益が出ましたが、もちろん株式投資には元本割れをする可能性があります。

ここ年の商船三井の株価チャートを見てみましょう。

3.1 商船三井の株価5年間(月間)チャート

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出所:各種資料をもとに筆者作成

出所:各種資料をもとに筆者作成

上記を見てわかるとおり、ここ5年間では株価が高いものの、時期により株価の上がり下がりが大きいことがわかりますね。

株価の動きはプロでも予想が難しいところがありますし、株価推移だけでなく、業績によっては配当金が下がったり、なくなったりする場合もあります。

株式投資のリスクは大きいため、きちんと情報収集をして経済状況を把握し、ご自身に合ったリスク許容度の範囲で総合的に判断して投資をすることが大切でしょう。

参考資料

宮野 茉莉子