2022年8月31日に金融庁から、令和5年度(2023年度)の税制改正要望が公開されました。

その主な要望項目は、「資産所得倍増プラン」関連の要望が目玉となっており、最近は注目度の高いつみたてNISAも今後は制度の在り方が変わる可能性もあります。

※つみたてNISAの制度のポイントと注意点については【参考1】を参照のこと。

また、NISA以外にも生命保険料控除制度拡充や暗号資産の期末時時価評価課税に関連するものなど、私たちの資産運用や税金に関するものとなっています。

ただし、あくまでも要望ですので、この内容がすべて認められるとは限りません。

もっとも、20年の非課税期間のある投資を20回実施できるというつみたてNISAを今更変えるのかという批判もあるかと思います。今後の報道には注意をしていきたいところです。

今回はそうした環境の中、つみたて投資を始めるにあたって、つみたてNISAがよいのか、イデコがよいのかを考えていきたいと思います。

つみたて投資の達人は今、何を、どう考えているのか

「つみたて投資を始めたいのだけれども、つみたてNISAかイデコ、自分はどちらがあっているのか」

こうした疑問をお持ちの方も多いかと思います。

今回は、長年に渡り「つみたて投資」を実践し、iDeCo(イデコ)で資産が1000万円を超え、含み益が5割近くにまで及んでいる「つみたて投資」の達人のRさんに話を聞いてみました。

ちなみに、Rさんは、以前は金融機関金にお勤めで、一種外務員資格(証券外務員一種)なども保有している、いわゆる「お金のプロ」です。

※Rさんの資産ポートフォリオの詳細については【参考2】を参照のこと。

つみたてNISA、イデコ、ズバリどちらが良いのか

-つみたて投資を検討している人はどちらを始めるのがよいのでしょうか。

Rさん:機動的に売却して手元に現金を戻す、という点を大事にするのであればつみたてNISAですかね。イデコは一度始めると原則的には60歳まで引き出せませんから。金融の世界では流動性といいますが、流動性を大事にするならつみたてNISAですね。

また、勤務先の年金制度を考慮しなくてもよいというハードルの低さを考えてもつみたてNISAの方が簡単に始められますね。

-では、つみたて投資を検討する方は、つみたてNISAの方をとりあえず始めておけばよいという理解でよいでしょうか。

Rさん:流動性を考慮しないのであれば、イデコの方がお得で運用の柔軟性は高いということは声を大にして言いたいです。

イデコであれば、たとえば、掛け金が全額所得控除となりますし、運用期間中にスイティングも柔軟にできます。

個人的には、つみたて投資をしている投資信託は入れ替え(売買している)ので、これはつみたてNISAにはできない技ですね。

つみたてNISAやイデコなどのつみたて投資は決められた金額を毎月同じ投資信託を買うようにすすめている情報が多いのは知っています。

ただ、金融機関によっては、イデコの商品ラインナップの変更で、投資信託も追加されて信託報酬が安いインデックスファンドやぱふぉーますの良かったアクティブファンドなど、より良い投資信託も出てきたりしますので、都度検討しているという状況です。

株式市場の環境次第では全額売却して現金(イデコでいえば元本確保型)でもっている方が安心な時もあるので、スイティング機能はありがたいです。

ただ、そう頻繁に投資先を変えないというのであればつみたてNISAでもよいと思います。

このあたりは個人差があると思いますので、各制度のメリット・デメリットを比較して検討するのがよいと思います。

【参考1】つみたてNISAの制度のポイントと注意点

つみたてNISAは金融庁管轄の非課税枠のある投資制度です。今後変更がある可能性も出てきています。随時、金融庁ホームページで発表内容をご確認ください。以下は原稿執筆時点での情報となります。

つみたてNISAの概要

  • 日本に在住の20歳以上の人が始められます。
  • 投資可能期間は2018年から2042年までとなります。
  • 年間最大投資金額は40万円(月平均にすると約3万3333円)
  • 各年の投資した枠内での20年以内での分配金や譲渡益に関しては非課税

つみたてNISAの落とし穴

  • つみたてNISAでは金融機関ごとに商品ラインナップは異なります(金融機関選びには注意を要する)。
  • 投資信託の銘柄選びは自己責任、自己判断(金融庁は約200本の投資信託などを品ぞろえとして用意)。
  • 売却タイミングは自己責任。
  • つみたてNISAは非課税枠のある制度としてはありがたいが、初心が始めるにあたってはある程度の金融知識が前提となる。

【参考2】RさんのiDeCoの資産ポートフォリオの概観と投資信託の選び方

これからつみたて投資を始めたい方向けへのご参考として、つみたて投資の達人のRさんのイデコの運用についてまとめておきたいと思います。

イデコもつみたてNISAも、つみたて投資の原則は同じですし、投資信託の品ぞろえと重複するものも多く、参考にしていただければと思います。

運用資産の状況

では、Rはどのようなつみたて投資を実践しているのでしょうか。率直に質問をしてみました。

―現在の資産の状況を教えてください。

Rさん:2022年8月頭の状況となりますが、拠出金累計としては688万円程度です。それに対して含み益が319万円程度あり、拠出金に対するその率は46%となります。結果、運用資産の全体は1000万円を超えているといった状況です。

-イデコだけでこんなに資産を作れるものでしたっけ?

おっしゃるように「イデコでこんなに投資できたっけ?」という質問もあるかと思います。

現在の勤務先には企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度がないので、仕方なくイデコを使っています。もっとも、10年くらい前は企業型DCの制度がある企業に勤務していたので、その引き継ぎ部分が含まれています。

ですので、毎月数万円を積み立てるイデコを始めた方からすると拠出金の類型学が大きく見えるかもしれません。

また、前職を退職した際に一度過去に運用していた投資信託は売却しているので、実際の含み益は現状よりも高い水準になると思います。

一度売却しなければならないのは、今振り返ってもいやですね。

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どのような金融商品で運用しているのか

-どのような金融商品で運用しているのでしょうか。

Rさん:大半は外国株式の投資信託の一択です。株式型の投資信託がリターンも高くなるので長期投資を前提につみたて投資をするのであれば最適だと考えています。

画像で、「海外株式」とあるのが、世界の先進国株式のインデックスファンドになります。また、「内外株式」とあるのが、全世界株式のアクティブファンドとなります。

また、機動的に投資信託を買い付けるために、預貯金を一部持っています。株式市場が大きく下落した時に買い付けるために一部残しています。現在は株式市場が下落トレンドなので、通常よりもキャッシュ比率を高めにしています。

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アクティブファンド vs インデックスファンド

-なぜインデックスファンドだけで運用しないのでしょうか。

Rさん:アクティブファンドでも長期で見るとインデックスファンドに対して大きくパフォーマンスが勝っているものもありますので、そうしたファンドは持っておきたいところですよね。

ファンドを選ぶのが面倒だという人に対しては、インデックスファンドだけでもいいよと言っています。ただし、インデックスファンドもインデックスには信託報酬の分だけ「必ず」負けるファンドですので、「長期で見るとインデックスと同じというわけにはいきませんよ」と付け加えておきます。

-アクティブファンドの見極め方はどうすればよいでしょうか。

やや専門的になりますが、トラッキングエラーとアクティブリターンを比較し、良いファンドと悪いファンドを見極めます。いわゆるインフォメーションレシオを参考にするとよいでしょう。

※2022年9月10日午後10時9分に読者の指摘をもとに修正しています。

参考資料

マネー編集部