医療費負担が2割になった後期高齢者の実情は?
今回医療費負担2割になったのは、前述したように後期高齢者のなかでも一定以上の所得がある人のみです。しかし、一定の所得があるからと言って、2割負担が問題ないとは言い切れません。
そもそも高齢者は、医療費が高くなる傾向にあります。厚生労働省の「令和3年度医療費の動向」でも、75歳以上の1人あたりの医療費はほかの年代のおよそ4倍高くなっています。
また2割負担になる人は、一定以上の所得はあるものの、現役並みの所得はないわけです。高齢者は貯蓄が頼りになる傾向にありますが、現役並みの所得がないと貯蓄を増やすのはなかなか難しいもの。
実際に「2019年国民生活基礎調査」の「貯蓄、借入金の状況」の項目では、60歳以上の40%以上が「貯蓄が減った」と回答しています。「貯蓄が増えた」と回答した人は60歳以上で9.9%、70歳以上になるとわずか4.5%という結果です。
増えにくい貯蓄のなかから、もともと高額な医療費を支払わなければならないのです。2割負担の医療費の支払いは、簡単とは言えないでしょう。