3. 繰下げ受給の注意点2.税金と社会保険料の負担増。所得税を試算

公的年金は、公的年金等控除が適用された後の金額が雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。所得税は所得が多くなるほど多くなった分に対して高い税率が適用される仕組み(超過累進課税)です。

この他に健康保険料と介護保険料も所得に応じて天引きされるため、繰り下げ受給による年金の増加率ほど、手取りでは増えない可能性があります。

この中から所得税を取り出してAさんの負担アップの金額を見てみましょう。

公的年金等の支払を受けるときは、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた額に5.105%を乗じた金額が源泉徴収されます。

3.1 繰下げ受給70歳受取:年金月額28万4000円

28万4000円×12カ月=340万8000円
340万8000円×0.75-27万5000円=228万1000円
228万1000円×5.105%=11万6445円(小数点以下切り捨て)

3.2 繰下げなし65歳受取:年金月額20万円

20万円×12カ月=240万
240万-110万=130万
130万×5.105%=6万6365円

所得税は11万6445円と、繰下げなしの6万6365円と比較すると負担する金額自体はアップすることになります。