1. 厚生年金と国民年金、標準的な夫婦が受け取る年金と注意点

夫婦が受け取る年金の合計額について、日本年金機構では月額21万9593円だと公表しています。

出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」

ただし、ここには注意点が2つあります。

1.1 注意点1. 2022年度での水準である

上記の月額21万9593円は、あくまでも2022年度の水準です。年金は今の現役世代が今の高齢者を支えるという世代間扶養の構造をしており、ここにはその時代の情勢も反映されます。

物価や現役時代の賃金水準により、毎年調整されるため、標準的な夫婦の年金は毎年変わっていることに注意しましょう。

1.2 注意点2. あくまでもモデル夫婦での試算である

さらに、この月額21万9593円は限定的な試算結果であることに注意しましょう。

モデルとなった夫婦の条件は、「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」とされています。

整理すると、

  • 夫は40年間厚生年金に加入した
  • 40年間の収入は平均して43万9000円だった
  • 妻は専業主婦で厚生年金に加入していない
  • 夫婦ともに国民年金は満額納めている

という状況になります。

国民年金保険料の納付状況や年収、夫婦の働き方など、一般的とはいえかなり限定的な試算となっていることがわかりますね。

以上のことから、あくまでも「標準的な夫婦の年金額」であり、全員にあてはまる数字ではないといえます。